Christoph's story 04 "Strange partner" Update!

【前回までのあらすじ】
ミルズへの孤独な復讐の闘いを続けるクリストフ。
彼は街で偶然、壊滅したステチコフシンジケートのバウンサー、ロイと出会う。
かつての敵ロイは、警官の身分を捨てミルズと言う巨大なシンジケートへ挑むクリストフに奇妙な共感を抱く。





コンシールキャリーするには、やはりKフレームがいいようだ。
Nフレームの44はいささか、重かった。

9mmオートの非力さを考えれば、ダブルタップといった手間が省ける
だけよかったが。装弾数もそれを鑑みれば大差ないといっていい。
しかし、人を撃つにはややオーバーパワーだったかも知れない。

М13をコンシールする今は、かなり楽だった。
ダイソンの手入れもいい仕事をしていたようで、不満は一切ない。

いいだろう。これなら・・・
とある場所を目指す俺の前に、一人の男がふと現れた。

ステチコフ・ファミリーのバウンサーだった男。
今は組織は壊滅したようだが、俺の知った事ではなかった。
出会いは偶然だった。ただ、相手はそうは思わなかったようだ。

「・・・!?」
『・・・』

相手が懐に手を入れた。2秒。遅い、それじゃ遅いんだ。もう・・・

額に押し付けられたブルバレルを恨めしげに見つめる男。
懐に手を入れるだけに2秒じゃ、遅すぎる。

『いいか、そのまま路地裏に行け。お前が知ってる俺なら、どうするかわかるだろう?』
「マッポが・・・なんの真似だ?」
『そうだな。殺しはしない。いいから路地に入れ』

幸い人通りもなく、俺たちは騒ぎにもならず路地裏に入り込んだ。

「いくら貰った?マッポが俺を殺すってのかっ?!」
『・・・もう辞めた。俺は市警じゃない』
「くたばれっ・・・金の信者がっ」

かなり追い詰められているのだろう。逃亡生活が長く、すべてが
敵に見えるようだった。

『勘違いするな。お前が抜こうとしたから、抜いただけだ。お前の顔は知ってる。
だが、市警じゃない俺はどうこうする気はない』
「・・・なんだって?」
『俺はもう、市警じゃない』

市警だった頃の俺を知るこの男は、計るように俺を見た。
ケンもそうだが、俺はなんだってこう疑われるのか。

「ミルズ・アサシンがこの前死んだ」
『らしいな』
「・・・あんたか」
『死にたいのか?』
「そ、そうじゃねぇ。ミルズは今この街で猛威を振るいつつあるんだ」

前から、表立って侵食してきていた。裏でも密かに浸透してきていた。
闇の勢力図が混沌としてきた今、その活動はおおっぴらになってきたのだろう。

『・・・だったら?俺の知った事じゃない』
「まぁ聞け。今、この街でヤバイ奴等がミルズと事を構えようとしてんだ。知りたくないか?」
『・・・なんだ?』
「警備会社でな、ああ。そりゃ勿論名目だ。ガルシア・ファミリーが掛けていた賞金目当て
で動いていた組織でな。今はもう散々になってる」


聞いた事がある。かの男に賞金が掛けられていたというが。
この前の「暴動」の首謀者らしいが・・・。

『それが?』
「今、ミルズとかち合って対立しだしてんだ。あんたにとっても悪い話じゃないだろ?
ああ、勿論俺にとってもだ。ファミリーがやられた今、俺もやばいんだ」

そこに俺もかませ、自分は更に深く潜ろうとでも?ステチコフはやりすぎた。
関係した者たちで、シャバにいる奴らはどんどん姿を消していた。

『警備会社・・・例の暴動に絡んでいると目される組織、そしてガルシアは
その首謀者といわれている組織の首領だな?』
「ああ・・・ガルシアは違う。あんたの情報は腐ってる。警備会社の頭は
マンシュタインっていうらしい」
『・・・なんだって?』

マンシュタイン。退任後、傭兵絡みの「警備会社」を創設したというが・・・
イナークはS.W.A.Tにいったと風の噂に。
そして俺は闇に身を潜めている。

ステチコフ・ファミリーのバウンサー。ロイも俺に協力を申し出た。
保身のために。ステチコフに辛酸を舐めさせられた連中は多い。
ミルズ・アサシンと事を構えようとしている「警備会社」に食い込めるきっかけを
持つ俺が、必要なのだろう。

ミルズが、俺とマンシュタインを再び結び付けようとしていた。

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「ここにいたのか」

ロイがモーニングを食う俺のところにやってきた。上等なシルクの
ジャケットにパンツ。手にはタブロイド。センスが問われる。

『同席するな』
「そういうな。いい話を持ってきたんだ」

といいつつ、無愛想なウェイトレスにコーヒーを頼むとタブロイドを広げた。
求人、伝言が書かれた場所を指差す。

「いいか?ここを見てくれ。このスペースは連絡網なんだ。俺たちのな」
『お前らだろう。用件を明確に言え』
「朝からつんけんすんない。いいか・・・ガルシアの居場所がわかった。
料金は3000と書かれてる」
『・・・・ホームヘルパー場集。ウェストパーク7−8−5と書いてあるが』
「それは伝言ダイヤルの番号なのさ。ウェストパークってのは特上ネタだ、急げって事」

探る俺の目線に気付いたロイが困った顔をする。悪い奴ではないらしい。
信じるか信じないかは、俺にゆだねている。

『いいだろう。3000必要なんだな?用意する。すぐに情報を押えてくれ』
「わかった。あんたは話が早い」
『つけられてる。どこの手かは知らんが、巻くか俺に預けるかしろ。落ち合う場所は
イーストサイドのモーテルだ。金は口座に入れておく。好きに使え』
「・・・・わかった」

情けない顔で頷くロイ。お前も俺も付録つきな訳だ。俺にも張り付いている奴が居る。
だが・・・ガルシア。生きのいい餌がまかれている。好都合だった。

2時間後。俺は付録を巻いてイーストサイドの安モーテルにチェックした。
ロイは俺に預ける事無く、張り付いているやつらを持っていった。
ステチコフのバウンサー、腕に自信はあるらしい。

たかが3000。振り込まれた金を持ち逃げする事もあるまい。
命の値段が3000ダラー以下でないのなら。

コンコン

『誰だ』
「俺だよ、ロイ。特上ネタを仕入れてきたぜ」

部屋に入ったロイからは、かすかに硝煙の匂い。自分でケリをつけたようだ。

『ガルシアの居場所はわかったのか?』
「ああ、それだけじゃねぇ。ミルズは勿論、警備会社も奴の頭に通風孔を作りたがってる」
『 ・・・』
「いいニュースばかりじゃない。イーグルワンが警護に動いてるらしい」
『俺たちはガルシアを狙ってる訳じゃないだろう』
「そうだが・・・あのイカレ野郎は誰彼構わずぶっ殺す。くそったれだ」

ふと、バツが悪そうな顔をするロイ。
「ああ・・・あんたは違ったよ」
『くだらない気遣いはいい。俺はもう市警じゃないしな。お前の獲物はなんだ?』
「俺?」
ジャケットを捲り見せた獲物は・・・М66。
『・・・・』
「二人してリボルバーじゃ不安か?仕方ないだろうっ俺もあんたもそうなんだから」

まぁいい。俺たちはセーフハウスのある場所に移動を開始した。獲物が集まる「特上」の餌が
そこにある。俺たちは待てばいい。

 Photo  やさぐれ刑事のM29

 Photo  やさぐれ刑事のM29とM13FBI

 Photo   やさぐれ刑事が捨てたバッジ