Christoph's story 02 "The Beginning of the revenge" Update!

【前回までのあらすじ】
ルールティンの店で44マグナム弾を入手したクリストフは自身の運命を試すかのように3人のチンピラと戦い彼らを葬る。
市警の刑事、ケンはクリストフの犯行と知りつつ今回だけは見逃すと告げる。
しかしクリストフが向かった先はミルズのバウンサーだった。




降りしきる雨の中、俺はある店に向かっていた。
その店のバウンサーは、ミルズの関係者。

俺は、引き金を引く。それが俺の宣戦布告になる。
自分でも無茶だとはわかっている。だが、そんな事は問題じゃなかった。

「よう・・どこへ行くんだ?」
『・・・』

ケン。署の刑事だ。ルガーP08を吊っている変わり者。
ミルズの一件で負傷し、入院していたはずだが・・・

「スーパーボウル、見たかい?」
『ああ』
「最高だったな」
『・・・そうだな』
「・・・あんたもあの頃は、最高だった」
『 ・・・どうかな』

降りしきる雨の中、ケンと俺は向かい合っていた。

「あんた、何故辞めた?」
『さあな。そうするしかなかったのさ』
「ミルズに屈したとでもいうのか?」
『・・・かもな』


「・・・ルールティンの店の前で、発砲事件があって三人の青年が
射殺された」
『・・・』
「ルールティンは、犯人は見ていないそうだ」

意外だった。ケンはてっきりその件で俺の元に来たのだと。
ルールティンが、俺を庇う理由が見当たらない。

「これが最後なんだ。次はないぜ」
『・・・前にもそういわれた』
「次はない。これが最後なんだ。ルールティンも最後にあんたにチャンスを
与えた。ミルズも・・・俺も」
『俺にもさ。次はない。そう決めたんだ』
「・・・・」

わかってる。尻尾を巻いて逃げ出すべきなんだ。錆付いたロートルに何ができる。

「あんたはあの時、くたばって英雄になるべきだった」
『それもよくいわれる。だが、生者は死者より少しだけ多くのことができる』

トレンチコートの裾を風が煽り、雨水が舞った。ケンのサングラスにも水滴が伝う。
こちらを計っているのだろか。俺が抜くとでも思っているのだろうか。

「あんたが生きている今日は、誰かが生きたかった今日なんだぜ?」
『 ・・・そうだな』
「復讐に費やして無碍に散らすのか?」


誰かが生きたかった今日。それを奪ったのは俺だ。
枯葉一枚の価値もない、くそったれな規範のせいで。
その規範によって、俺は今こうしている訳だ。

「そうだ」

ケンは舌打ちした。このまま、俺を引っ張るつもりなら俺はこいつを
撃たねばならない。

『・・・本部長はまだ辞表を処理していない』
「・・・」

ショットガン・ダディー。アンタッチャブルで居続けられる秘訣でも聞けば
よかった。何もかも捨てて、ただ信念を貫いた男に、規範に従いすべてを失った男。
何が掛け違えたのだろう。

俺はもう戻らない。退職金が必要なんだ、本部長にはそういっといてくれ』
「あんたは、あの日くたばるべきだった」
『かもな』

イーグルユニット創設、続くイリーガルユニットの増設。
そんな事柄は俺には興味がなかった。ただ、それだけの事だ。

『用がないならいくぞ?』

俺は背を向け歩き出した。

-----------------------------------------------------------------

チャリ・・・チャリン。

アスファルトに落ちる1セントコイン。
かすった弾が、くたびれたパンツのポケットに穴を開けていた。
目の前で虫の息の男の胸には、命の灯明をかき消す、弾痕。

こいつがくたばったら、河を渡れるように銀貨を口に咥えさせてやるとしよう。

「・・・くそったれっ・・・わかってるのか?・・・おまえ」
「・・・2年前。お前が殺した娼婦も同じ思いだったろう」

ただ、証拠がなかっただけ。上司が捜査を早々に切り上げただけだ。
ミルズのバウンサー。降りしきる雨は体温を容赦なく奪い、ダンテの門へ
引き寄せていく。
この門をくぐる者、一切の望みを捨てよ−。

「・・・おまえも・・・すぐ・・こうなる・・・はっざまあ・・みろ」
「・・・そうだな」

(至近から打ち込んだプロターゲットを前に銃を手に長々妄想)

まず一人。怒りの炎にくべられた薪。収まるどころか炎は猛るばかりだった。
ミルズという理不尽。そして何より自分に。

まだまだ暗闇の中にいる。走る足元を照らす銃の砲火は薄暗いままだ。

 Photo  やさぐれ刑事のM29

 Photo  やさぐれ刑事のM29とM13FBI

 Photo   やさぐれ刑事が捨てたバッジ