Christoph's story 01 "Retirement detective" Update!

【クリストフの妄想経歴】
本名、モリト・クリストフ。
市警の辣腕刑事として長く勤務するが、ミルズシンジケートが関わる事件を深追いした為に別れたかつての妻子を殺されてしまう。
クリストフは市警を離れ、只一人でミルズへの復讐を誓う。
クリストフの熱く、そして暗い復讐の炎が燃え上がろうとしていた。


「だから言っただろうっ?!・・・お前はいつもそうだった。周りをみな
不幸にする。もう俺の前に現れるな」

葬儀の場でいう台詞ではない。だが、俺はそれを甘んじて受けるしかなかった。
これは警告なのだ。もうこれ以上踏み込むな。そういった示威を持った。

別れた妻と子供がひき逃げにあい、死んだ。
不和の果ての決別だった。親権も失い、俺は月に一度の面会も許されていなかった。
愛なんてもうなかったといってもいい。

なら何故、俺は銃を手にしているのだろう?
・・・ただ、もう二度と不幸にならないで欲しい。幸せであって欲しいと願っていたから。
その未来を奪ったのは、俺だったから。

俺は上司の警告を無視し、ミルズの関わったであろう犯罪の捜査を進めた。
かの本部長やあのイーグルワンたらいう刑事を気取るつもりはなかった。
ただ、職務をまっとうしようとしただけだ。

「次はない」と書かれた手紙の入った封筒。中に詰め込まれた15万ドルの紙幣。
俺はそれを手に、辞表を出しメキシコにでも行かなければならなかった。

そうしなかった次の週末。別れた妻と子は無残な末路を迎えた。
別れた妻と子だ。なんの関わりもなかった。冷め切った果ての別離だった。

「次はない」

そうだろう。これで引かなければ、次は俺の命となる。
俺の命は今のところバッチが保障してくれている。ミルズも警官に手を出すのはまずいと 思っているのだろう。
俺は辞表を出した。


ミルズ。なんのバックアップもなしに対したとして、敵う相手じゃない。
死体もこの世から消滅してそれきりだろう。

退職警官の失踪。いや、辞めたという事が彼らの示威に屈したと取られるのだろうか?

何故俺は銃を手にしているのだろう。もう関係ないはずだった。
復讐?いや、違うな。
償い?いや、もう贖えるものでもない。

俺の胸に渦巻く感情が怒りだと気付いたのは、葬儀も終わり辞表を出した後だった。
俺の規範が災厄となって二人を巻き込んだ。
だが俺は今こうして銃を手に、自分の規範に従おうとしている。
どうしようもない。まったく救いもない。

「よう。バッチがなくなって、さっぱりしたかい?」
『・・・世話になったな。元気で』
「 つれないな。また呑もうぜ?電話する」
『・・・ああ』

あの男のようには俺はなれない。
だが俺は俺の規範に従って、曲げられないままに奈落に落ちる。
妻と子のいる場所ではないだろう。だが、それはもう求めるべきもない。

ただ、幸せであって欲しかった。その灯明が消えた暗闇を走るには、銃の砲火しかなかった。
ミルズアサシンを一人でも多く。一人でも多く手向けに送る。

わかってる。俺はそんな真似は恐らく出来まい。だが、それが俺の規範であり、標だった。


古びたリボルバー。これが俺のすべてだ。
今時は制服もダブルカラムのオートを吊るしている。

俺はオートはどうも好かなかった。信用できない。
ガバだって7発。装弾数が多いからといってどうだというんだ。
彼らは一年、まったく撃たない事だってあるだろう。

俺もそうだった。年に数回。

吊るしていなきゃならないから、そうしてた。
「罪の街」と呼ばれるこの街だって、そうバカスカ撃ちまくる日々ばかりじゃない。
44マグナムの口径は、突きつけるだけで相手を説得できた。
俺は手錠をはめて署に連れて行くだけでよかった。

バッチがなくなった今は、もうそうはいかないが。
バッチがあったら、俺は引き金を引けない。
今はもう、俺をとどめる規範はない。

疲れたジャケットの下に吊るしたリボルバーは、もう法を遵守するものじゃない。
俺はもうまっとうすべき職務を持たない。
ローダーは三つ。十分だろう。これを打ち終われるかすら、自信がない。

ルールティンの店にでも行くとしよう。あそこなら、誰にでも銃を売る。
弾だったらアメ玉を売るより気軽に売ってくれる。

この街では銃は必須だ。生きる上で。

ルールティンの店はダウンタウンの一角にある。
ポケットに手を入れて近づけば、まず間違いなく撃たれる。

だが銃を持っていなければ、おちおち歩いても居られない場所にある。
市警の頃は滅多に近寄らなかった。

・・・弾をくれ。44マグナム』
「市警が何のようだ?配給を受ければいいだろう」
『もう辞めた。44なんざ支給されない』
「くたばれ」

バッチがなければこんなものだ。

『売らないのか』
「いや、売ってやる」

よそよりは3割増しだったが、今は金より弾が必要だった。
今の会話を聞いていた連中が、何人か路地に消えた。
バッチのない元市警。いい玩具だったろう。

俺にも好都合だった。少し試してみたかった。腕がどれだけ錆付いたか。

「ヘイメン。有り金とカードと、銃を置いていきな」
店を離れて三歩。3人のニガーが現れた。この辺りのゴロつきだった。

最近はこの街の闇の勢力図はもうめちゃくちゃだった。
この界隈で興っていたペタスという奴が頭の組織も今は壊滅したと聞く。
誰もこんなしけた場を取りたいとは思わない。

この辺りのゴロつきは、手柄を立ててそれを売りに
どこかの組織に自分を売り込む。

丁度いい。こいつらに殺されれば、俺はそれまでという事だ。

『くたばれ』
「・・・ああ?市警気分が抜けないらしいぜっ?!」

げらげらと笑う真ん中の奴に抜きざま銃を撃つ(抜きざまぶっ放す。三つ並んだターゲットの
真ん中にヒット)

遅い。呆れるくらいに錆付いてた。
慌てる奴、呆然とする奴に続けざまに撃ち込む(無言でターゲットに撃ち込む)

轟音が轟き、瞬く間もなく辺りから人影が消えた。
もんどりうってふっ飛ぶ三つの肉塊。安っぽいサタデーナイトスペシャルを握っている。
よく見れば、まだ十代も半ばの顔付をしている。

『・・・弾をもう1ケース売ってくれないか?』
「くたばれ」

ルールティンは、俺が最後に見た姿のまま、咥え煙草で毒づいた。

 Photo  やさぐれ刑事のM29

 Photo  やさぐれ刑事のM29とM13FBI

 Photo   やさぐれ刑事が捨てたバッジ