Inerk's story 41"Inerk's vacation2"

【前回までのあらすじ】
ラスベガスとメキシコで悪夢のようなカオスが起きる一週間程前、イナークはミシガンの森林にある友人の山荘で静かなバケーションを楽しんでいた。
しかし隣のコテージに警察を振り切った現金輸送車襲撃犯達が逃げ込んで来る。
武器は友人の護身用、M629と12発のマグナム弾。
イナークの休日は又しても戦場と化す。




俺の名はイナーク。市警のSWATでチームリーダーを務めている。

都市犯罪が凶悪化する中、テロリストや銀行強盗ら凶悪犯達と戦いの日々を過ごす。
幸か不幸か過去の俺の軍歴は今の仕事で生き延びるのに役立っているようだ。
市警の勤務とは別にリードマン中尉からRainbowに応援で時々呼び出されるのも相変わらず。

しかしそんな俺でもたまには休暇を取る。
今回はミシガンの森林地帯で引退生活を送る古い友人ケリーの招きだ。
ケリーには俺が軍を抜け警察官になる際にその段取りを計らって貰った恩もある。

その別荘はミシガンの森林地帯、幹線道路から奥深く入った別荘群の一つにあった。
電気・水道・ガスは供給されているものの電話やCATVは無く、古びたラジオとCB無線が彼の外界とのささやかな接点だった。

戦場で老齢まで生き抜き、負傷して軍務を辞めざるをえなかった彼らしい静かでそして落ち着いた引退、いや隠遁生活がそこにはあった。
彼との再会の後、俺はその別荘でもう長い間忘れていた静かな数日を過ごした。

いよいよ明日は帰途に着く別荘での最後の夜。

「イナーク。悪いな。起きてくれ」

『もう.....朝なのか?』

「いや、ちょっと問題が起こった」

『問題?』

時計を見る。午前3時を廻ったところ。まさに真夜中だ。

「隣のコテージに珍客だ。明かりは点けずに窓から見てみろ」

ケリーの囁き声に従い、俺は常夜灯のかすかな光の中でベッドから這い出して窓の外を伺う。
隣のコテージに暗い色のバンが止まっており、コテージの窓からは明かりが漏れていた。
バンから数人の男が緑のバッグをコテージに運び込んでいる。
彼らの手には拳銃やMAC10が握られているのを俺は見て取る。

『自警団やハンターには見えないな』

「夕方のラジオのニュースで現金輸送車強盗犯の話をやっていた。輸送車の乗員を全員射殺して警察を振り切ったそうだ。連中に間違い無い」


ケリーの別荘と隣のコテージは他の別荘群とはかなりの距離がある。
目撃者は俺達だけだろう。
まずいな...奴らが今にもこの別荘に口封じに来る可能性は高い。

俺はいつもなら就寝時でも護身用のベレッタM92FSを携行するが、今回はケリーが武器を嫌がるので車のダッシュボードに入れていた。
あいにく自然環境保護の為の規則で車はずっと下った所にある別荘群の共有駐車場に停めていた。
お行儀良くしたのが裏目に出た。

『参ったな。連中が来るのは時間の問題だろう。あんたの引退後の銃嫌いは承知の上だが銃は無いか?』

「あるよ。護身用にと貰ったがそのままここの引き出しにしまってある」


彼は引き出しを開けて銃と弾丸が装填されたリローダーを取り出す。
S&WM629マグナム。銃に装填された6発とリローダーの6発で、弾丸は計12発。

『44マグナムを銃嫌いのあんたに?誰に貰った?』

「リードマン中尉さ」


なるほど。いつもの事だが抜かりの無い事だ。

「どうする?連中が来るのを待つか?」

『いや。こっちからお邪魔する。あんたはCB無線で警察を呼んでそのまま裏口から駐車場へ逃げてくれ。』

「悪いな。役に立てなくて」

『いいさ。二度と銃を持たないと決めたあんたを俺は尊敬してる』


ケリーはCB無線機のある自室に向かった。
俺は手早く着替えると、彼のM629を右手に持ち、リローダーをパーカーの左ポケットに入れて足早に1階へ降りる。

ドアをそっと開けて外に出る。
連中の姿はバンの近くには見えない。全員コテージに入ったようだ。
腰を沈めて木々を盾に隣のコテージに接近する。
ひょっとして杞憂だったかも...そう思った時、俺が取り付いた壁の向こうから強盗犯の声が聞こえる。

「よし。お宝は全部運び込んだな。ジャックとヘンリーは隣の別荘を見て来い。車は無いようだが誰かいたら始末しろ」

OK。予想通りって訳だ。
それなら俺も躊躇しない。容赦なく。

俺はコテージの正面に廻り込む。
正面のドアの隣部屋に銃を持った白いTシャツ姿の強盗犯が一人!
目が合う。

『警察だ!膝を付け!』
窓の外の俺の声に従わず、強盗犯はドアから部屋の外に消える。そう..玄関に。

俺は正面玄関のドアが見える位置に廻り込みその時を待つ。

「ギィィィィ」
油の切れた蝶番をきしませて玄関のドアが開く。
さっきの強盗犯がMAC10を持って現れた。背中を向けている。

『手を上げろ!』
俺はもう一度警告するが、奴は振り返ると銃を構えて突進してくる。
悪い薬でもやっているのか?

「ドゴォォン!」
俺は奴の右肩を狙いM629のトリガを引き、マグナム弾を叩き込む。

「ぐわぁぁぁぁ!」
男は悲鳴を上げてその場に昏倒する。瀕死の重傷。ノックアウトだ。
俺は奴のMAC10を足で蹴り飛ばしてそのままドアを伺う。
今の音を聞けば...来た!

「ジーザス!ポリ公か!」
黒のシャツとグレーのズボン姿の男が開いたままのドアに現れ、しゃがんで銃口を俺に向ける。

『警察だ!武器を捨てろ!』
「ドゴォォン!」
言うのとほぼ同時にドア越しに奴の右肩にM629のマグナム弾を撃ち込む。

「バキッ」 「うおっ!」
俺が放ったマグナム弾はドアを貫通して奴の右肩に命中。奴は呻きながら銃を取り落とした。
しかし奴はへたり込みながらも、無傷の左手で別の銃を腰から取り出す。

「ドゴォォン!」

「ぐわぁぁぁっぁぁ!」
胸板を狙った俺の第2射は男を弾き飛ばすように撃ち倒した。

「何の騒ぎだ畜生!」
玄関の奥の部屋で別の強盗犯が悲鳴に近い声を上げる。
姿はドアの外からは見えない。

『武器を捨てて地面に伏せろ!』
俺は叫びながらドアにそろそろと近づく。
カッティングパイのセオリーを守り、徐々に室内をドアの外から捜索。

「畜生!俺はずらかるぜ!」
声と共に男が正面の奥の部屋から現れ、右の部屋のドアへ走り出す。

『手を上げて投降しろ!銃を捨てろ!』

「撃て!撃て!」

男は他の誰かに命令しながら右のドア...地下室への階段に消えた。
いくら俺でも背中から撃つ訳にはいかない。

「油断するな!」「バタン!」
別の男の声が左手の部屋で聞こえてドアが閉まる音。

俺は静かにドアからコテージの室内に入る。
正面の部屋、右の地下室のドアには動きは無い。
3方を警戒しながらそろそろと歩を進め、左の部屋に入る。無人だ。
部屋の右手にはシャワー室。さっきのドアが閉まる音はおそらく...

おれは足早に閉まったままのシャワー室のドアの左手に取り付く。
別の部屋の奴による背後からの奇襲に備えて後方を警戒..OK。クリアだ。
それでは...

俺は銃を構えたまま膝を付き、低い姿勢でシャワー室のドアを左手から開ける。

「畜生来やがった!」

そこには赤い派手なシャツを着たメガネの強盗犯。
男は一瞬銃を構えかけるが俺の銃口を見て思い直し、静かに銃を下げる。

『銃を捨てろ!』
俺の警告に従って男は静かに銀のリボルバーを床に置く。

「銃は捨てたから撃たないでくれ!」
俺は傍にあった電気コードで男を後手に縛り上げる。

「そんなにきつく縛らないでくれ」
男が派手な腕の刺青に似合わぬ情けない声で懇願する。
悪いな...今日は余裕が無いんだ。

俺は踵を返して玄関の部屋に戻る。
今の男を逮捕する間、他の部屋には連中の気配は感じられなかった。
あと何人いるのか...弾はリローダーの6発を含めて後9発。

玄関の部屋に出た。地下室へ続く階段に動きは無い。
左の食堂も同様。食堂の壁にはイカした船の操舵輪のオブジェが。いい趣味だな。
食堂の奥にはドアが無い別部屋でキッチンがある。
俺は食堂に素早く踏み込むと待ち伏せを警戒しつつキッチンを捜索する。

OK。キッチンはクリアだ。
すると残りの強盗犯は地下室に篭った訳だ。
俺は玄関部屋に戻り、M629を構えたまま地下室への階段へ歩を進める。
階段もクリア。静かに階段を下り、突き当りのドアの左に取り付く。

どう考えても待ち伏せは必至。
連中の残りの人数は不明。リボルバーだけでなくMAC10を持った奴もいるはず。
勝負は最初の数秒だ。
俺はドア左側の壁に張り付いたままドアを開ける。

「キィィィィィ」 ドアが軋みながら部屋の中へ開く。

「ズババン!ズババン!ズババン!」
MAC10の連射が開きかけたドアとドア枠を削る。
男が一人、奥の部屋に走り出す。だが奴が持っているのは拳銃。囮だ。

『銃を捨てろ!今すぐだ!』
ドア左の壁で死角になるあたりに潜むMAC10の強盗犯へ向かって俺は叫ぶ。

「畜生!コイツはただのポリ公じゃねえぞ!」

男は罠に掛からなかった俺に驚きの声を上げる。声は奴の位置を壁越しに正確に俺に告げる。

俺は右にサイドステップ。

『武器を捨てて手を上げろ!』
「ドゴォォン!」
警告を叫びながら、銃を構えた奴を視界に収めた瞬間にM629のトリガを引く。

「ぐわぁぁぁぁ!」
男の胸板に叩き込まれた俺のマグナム弾は男を後方に撃ち飛ばす。

奥の部屋へ走る囮を買って出た男が予想外の展開に慌てて背中を向けたまま俺に銃を向ける。

「ドゴォォン!」

「あぁぁぁぁぁ!」
男は左肩をマグナム弾に撃ち抜かれ、後にのけぞって倒れる。

慎重にドアの外からカッティング・パイ。
地下室は娯楽室らしい。ビリヤード台が据え付けられ、台の上には現金輸送車から奪った現金バッグが置かれている。
お楽しみの分配の直前に俺が訪問したらしい。

OK。娯楽室の中はクリア。
人の気配は感じられない...これで全員か?
しかし娯楽室の奥には倉庫と思しき部屋のドア。

そっと奥のドアに近付き左側の壁に取り付く。
「気配を感じるぜ!ポリ公!」
ドアを開けるのと同時に男の声が響く。

『手を上げて投降しろ!』

警告するのと同時に右へサイドステップ。
銃を構えてしゃがんだスキー帽の男!

「ドゴォォン!」 外した!そのままドアの横の壁に身を戻す。
「バン!」 強盗犯が放ったリボルバーの弾丸はドアの横の壁を穿つ。

弾切れ!壁を盾にしたまま後退し、M629の弾丸をリローダーで再装填する。
僅か数秒が無限にも感じられる。
奴が俺の弾切れを察してドアに姿を現すのと、俺がマグナム弾を再装填するのは同時だった。

「バン!」
「ドゴォォン!」

奴のリボルバーと俺のM629が同時に火を吹く。
奴の弾丸は右上に逸れ、俺のマグナム弾はドアの木枠を粉砕。

「ドゴォォン!」
「うぅぅぅぅぅ!」
俺がすかさず放った第2射は奴の首を撃ち抜く。
男は足をひくひくと痙攣させながら息絶える。

終わった...今頃はケリーが呼んだ地元の警察がこのコテージへ向かっている筈だ。
後は彼らに任せるとしよう。

それにしても大した大金だ.. だが命を捨てるには安すぎる。

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  イナークが友人から託されたM629


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  イナークが友人から託されたM629その2


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  イナークが友人から託されたM629その3


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  事後に到着した警察のパトロールカー


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  事後に到着した警察のパトロールカーその2


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  イナークが置いて来てしまったM92FS


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  イナークが置いて来てしまったM92FSその2