Inerk's story 09 "DuPlessis Wholesale Diamond Center"

【前回までのあらすじ】
日系米国人のイナークは米国陸軍レンジャー、デルタ部隊勤務を経て、NATOの特殊作戦部隊Rainbowに従事していた。
テロリスト達との殺伐した闘い、殺し合いの日々に疲れた彼はRainbow部隊を退役。
超小型核爆弾の幻覚に悩まされながらも、市警のS.W.A.T.のエレメントリーダーとして勤務していた。
狂信的なテロリスト"アメリカ・ナウ"による人質篭城事件解決の際の過剰攻撃の嫌疑も晴れ、イナークは隣接した州の暴動の応援に駆り出された。
快適なSWATバンのうたた寝の中、イナークはかつてのRainbow時代の闘いの夢を見る。
夢から覚めたイナークを待っていたのは、宝石加工店を占拠した完全武装のテロリストとの死闘だった。




俺の名はイナーク。市警のSWATでチームリーダーを務めている。
今日は隣の州の暴動騒ぎの鎮圧の為に応援で駆り出されている。

昨今のテロリストの扇動による暴動の一つだったが、今日の暴動鎮圧は地元の市警察が主役で、俺達は略奪や治安妨害の阻止といった比較的ぬるい任務の予定だった。

しかし到着すると完全武装の十数名のテロリストが宝石加工店を襲撃し、多数の人質が取られた篭城事件が俺達を待っていた。
現地のSWATは他の銀行強盗や、襲撃された警察署の対応で手一杯で、本来なら『お客さん』だった筈の俺達にお鉢が廻ってきた。

辛くも逃げ出す事に成功した店員の話によると、宝石加工店を襲撃した連中は先日のアメリカ・ナウの連中と同様に軍用のボディアーマーとガスマスクを装備しているらしい。

武装はAK47アサルトライフルを装備した者が数名。後はMP5とUMP、MAC10等のサブマシンガンとショットガン。
LR300を装備した容疑者も確認されている。

陽動のつもりで扇動した暴動が予想外に規模が大きくならずに地元警察が迅速に対応したのと、宝石加工店員の警備員の善戦が容疑者達の脱出を不可能にした模様だ。

すでに多くの警備員と民間人が殺傷・負傷させられており、交渉はいたずらに負傷者の命を縮めるだけと判断した地元市警本部は、我々に迅速な掃討作戦を依頼してきた。

『どうして俺達はいつも貧乏籤なんでしょうねぇイナークリーダー』
エレメントメンバーが諦め顔で声を揃える。
どうもこの貧乏籤の引き癖は俺に原因があるとエレメントメンバーは考えているようだ。
(俺ももう否定はしない)

だが仕事は仕事。
チームの各員は迅速に装備を装着する。
ボディアーマーベスト、フリッツタイプの抗弾ヘルメットにM40ガス
マスク、催涙ガスとフラッシュバングレネード、ドアの開閉を不可
能にするウエッジ等。

だがアサルターのメインアームに問題があった。
元々オフだった為、各員のM4A1は本部の武器保管室で整備中。

『ある程度落ち着いた時点で暴徒の鎮圧支援と交通整理程度』との本部長のセリフを信じ、今回はタクティカルライト付きのMP5サブマシンガンM3 Super90ショットガンしか用意していない。

スナイパーのワトキンスとヘンリーは押収品から調達したナイツ社のSR-16のM5モデルをスナイパーライフル化して使用している。
あえて7.6mm弾ではなくM4A1と同じ5.56mmを使用するSR-16を選択しているのは容疑者の体を貫通して近くの人質に危害を及ぼさない為。

選択の余地は無い。リアガードのジャクソンはM3 Super90ショットガン。
他の全員はMP5を装備する。俺はMP5とは別に開錠用ショットガンも持つ。
もちろん各人がサブウエポンとしてガバメントを携帯。

今回の宝石加工店のような狭いオフィス内のCQBでは取り回しの良いMP5のアイアンサイト射撃もある意味、正解ではある。
しかし軍用ボディアーマー相手にMP5の9mm弾では少々心もとない。
各員に指示。

『発砲の際は容疑者の頭を狙うか完全に無力化するまで油断せずに斉射を
 続けろ。マガジンの弾切れに注意して、マガジン交換時に反撃を受ける
 なよ。一部の容疑者はM4A1や.45のUMPサブマシンガンを装備しているか
 ら充分に注意しろ。』

『MP5の予備のマガジンポーチも装備しますか?』

『そうだな。容疑者の大半はガスマスクも装備しているそうだから
 CSガスグレネードの装備数を減らしてMP5の予備マガジンを持て』

『了解。イナークリーダー。エレメント編成は?』

『いつも通りで行く。エレメント全体はゴールド。偵察員のレイノルズ
 とアサルターのジェラルドはレッド。アサルターのフィールズとリア
 ガードのジャクソンがブルーだ。スナイパーのワトキンスとヘンリー
 はシエラ1とシエラ2』

『OK。出動準備完了』

狙撃が可能な宝石加工店の窓は道路に面した側にしかない。
ワトキンスとヘンリーを建物の向かいの屋上に配置して、俺達ゴールドエレメントは地元のポリスの封鎖線を越え、宝石加工店のドアを入る。

MP5のタクティカルライトを点灯。後方の封鎖線のパトカーとポリスを一瞥。
向き直ると店内へ歩を進める。
容疑者達の茶色のバンが突入してシャッターを突き破り、車体の大半を店内に突っ込んでラジエーターから蒸気を噴出している。

1階ロビーには警備室と宝石加工室へのドアがあり、バルコニー状の2階への階段が用意されている。

2階はバルコニーの壁面に事務室と商談室・応接室が用意されており、地下の金庫室への階段へは2Fのバルコニー又は商談室と1Fの宝石加工室からしか行けない。
1階ロビーからは直接金庫室には行けない構造になっている。
3Fから上は別のテナントが入っているが、エレベーターを止めてしまったので容疑者達は1F、2F、B1Fで孤立した状態だ。

さあ。始めよう。
『エレメント!続け!』
『了解。後に続いてます』
エレメント4名と共にまだ金属探知機が生きているゲートを通過。
各員に警備室と加工室へのドアをチェックさせ、俺は2階へのバルコニーに続く階段をチェック。OK。各人の報告はクリアだ。

『レッド!警備室のドアをマジックワンドでミラーチェック!』
『ブルー!加工室へのドアにウエッジを仕掛けろ!』

我々の今後の動きを警備室のモニタで容疑者に教えてやる事は無い。
まずは警備室の制圧だ。
同時にロビーから加工室へ続くドアをウエッジで開閉不能にする。
今回は容疑者の自由な移動を阻止して各個制圧する為、要所の扉をウエッジユニットを使って開閉不可にして行く。

『こちらブルー。加工室へのドアをウエッジで固定』
『こちらレッド。警備室には誰も見えない』

各エレメントから報告。

『ブルー!2階のバルコニーを警戒!』
『了解』

バルコニーの監視をブルーエレメントと代わって、警備室を監視中のレッドエレメントに合流する。

『こちらシエラ1。武装した容疑者を確認。指示を請う』
スナイパーのシエラ1、ワトキンスが報告。
『OK。狙撃しろ!』

『了解。』
『バコーン!』
軍用ボディアーマーを着込んだ容疑者をシエラ2の5.56mmFMJ弾が撃ち倒す。
『こちらシエラ2。容疑者を排除』OK。2Fの容疑者は一人減った訳だ。

『レッド!催涙ガスを警備室へ放り込め!』
『了解!』

マジックワンドで誰も見えないからと言って誰もいないとは限らない。
容疑者がガスマスクをしていても催涙ガスの煙は突入の際の目くらましとしては有効だ。

ブルーの2名に2Fのバルコニーを監視させた状態で、俺とレッドの計3名が警備室への突入体制を整える。
レイノルズがドアを開け、ジェラルドがすかさずCSガスグレネードを放り込む。

突入。
『容疑者を視認!』 レイノルズだ。
CSガスの噴出を確認してから警備室に突入する。
ポイントマンを務める俺の後をエレメントが続く。
『手を上げろ!誰も動くな!』

壁面一面に監視モニタが設けられた警備室の右手には、迷彩色のボディアーマーを着込みガスマスクを着けた容疑者と、ダークスーツを着た容疑者が1名。
警備員の一人を人質に取っている。

スーツ姿の容疑者と人質は催涙ガスでパニックになるが、ボディアーマーとガスマスクを装備した容疑者は一瞬反撃のそぶりを見せて逃げにかかる。
『止まれ!撃つぞ!』

『ズバババン!ズバババン!』
発砲。応援を呼ばれる訳には行かない。
警告とほぼ同時にMP5の9mm弾の3点バーストを2連射。
近距離の為にボディアーマーも役には立たない。容疑者は昏倒する。

『両手を挙げて膝を付け!』
CSガスで行動不能の容疑者と人質を恫喝しながら、警備室右壁面の宝石加工室
へのドアに向かう。コイツをロックしてしまえば連中は袋のねずみだ。
ドアを閉め、倒れた容疑者のMP5とショットガンを確保する。
『こちらエレメント。容疑者を倒した』 本部へ報告。

『レッド!ドアをウエッジで固定しろ!』
『了解。そちらへ向かう』

部屋の入り口でもう一人の容疑者と人質を監視していたレイノルズとジェラルドがドアに向かいかけた時、予想外の事が起きた。

ドアが開き、外にはボディアーマーとAK47で完全武装の容疑者!
『畜生!ポリ公め!』

『ババババン!』 『ズバババン!ズバババン!』
容疑者のAK47と俺のMP5が同時に火を噴く。
容疑者の弾は上に逸れ、俺のMP5のバースト射撃は確実に容疑者を撃ち倒す。
もんどりうって室外にひっくり返る容疑者。

『エントリーチームより本部へ。容疑者を倒した』 本部へ報告。
『了解。油断するな』 地元警察の隊長は冷静だ。

容疑者のAK47とショットガンを回収。
後退してドアを閉め、再びレッドエレメントにドアのロッキングを指示する。
『レッド!ドアをウエッジで固定しろ!』
『了解。ボス』

レッドエレメントがウエッジでドアを固定する間にスーツの容疑者と人質の警備員を拘束。
『エントリーチームより本部へ。容疑者を1名逮捕。人質を1名確保した』
『了解。続報を待つ』
隊長より簡潔に返答。

壁一面の監視モニタの半数は破壊されており、その手前に1名警備員が負傷して倒れている。重傷だ。
『エントリーチームより本部へ。負傷した人質を1名確認』
『了解したEMTチームを待機させる』


他にも多くの負傷者がいるはずだ。銃創ならEMTでの緊急治療が必要だ。
早急に制圧が必要だ。

1Fロビーからの加工室へのドアと、警備室から加工室へのドアをロックした。
B1Fの金庫室と1Fの加工室、2Fの事務室の容疑者達はメインの階段を使って相互に行き来は出来ても2Fのバルコニーから1Fロビーへの階段を降りる以外には脱出は不可能だ。
もちろん各部屋の移動はまだ自由だが、それも徐々に網を絞る。

『エレメント!合流して俺に続け!』
警備室のレッド、バルコニーを監視中のブルーを合流させ、1Fロビーから2Fのバルコニーへの階段を登る。

バルコニーはロビーの上の4面に張り出しており、その内の2面に事務室や商談室・応接室等が用意されている。

『レッドは引き続きバルコニーを監視!ブルーは援護してくれ!』
階段を上がり切りバルコニーを時計回りに進み、バルコニーの死角をクリアリングする。

『ババン!』 サブマシンガンの発砲でバルコニーの装飾が吹き飛ぶ。
前方の左折する角に容疑者がいるようだ。

『リーダー!気をつけろ!』

『容疑者を視認!』
ブルーエレメントのメンバーが警告してくれる。大丈夫..角を曲がった出会い頭で...

『ズバババン!ズバババン!』
俺と同じMP5を構えた容疑者をほぼ零距離射撃。容疑者はたまらず崩れ折れる。
何てこった。奴はケプラーのフリッツヘルメットまで装備してやがった。

『GOLD!移動して合流しろ!』
商談・応接室への廊下の前で合流を指示する。レッド、ブルーがバルコニーをそれぞれ別の方向から半周して合流する。

廊下には人質の一人が撃たれて倒れている。重傷なのかピクリとも動かない。
もしかしたらすでに死亡しているかも...
『エントリーチームより本部へ。負傷した人質を1名確認』
『了解したEMTチームが待機中』

廊下の左右には各2つの部屋が合計4つ用意されているが、左側の2つは建物の正面にあり、シエラ1とシエラ2が監視している。
左側の向かって奥のドアが開いているが、シエラ1の狙撃の結果だろう。

廊下に当面の動きは無い。この隙にネズミ捕りの網を閉めさせてもらう。
バルコニーにある出入り口はこの廊下と、事務室への扉、そしてエレベーターと支店長室への扉の3つだ。

『レッド!エレベーターと支店長室への扉をウエッジでロックしろ!』
『了解』
『ブルー!事務室の扉にウエッジだ!』
『OK。任せてくれ』

エレメントは分担して同時に2つの扉をロックする。
『OK。固定した』
『ドアをロック』

これで出入り可能なのは先の廊下だけ...
『エレメント!合流して俺に続け!』
『直ちに向かう』

レッドとブルーエレメントと合流。再び商談室・応接室への廊下へ向かう。

奥の右の部屋からはパニック状態の人質の叫び声が響くが差し迫った状況でもなさそうだ。

まずはシエラ2の監視下にある比較的危険度の低い部屋から行こう。容疑者の姿は報告されていない。
それでも念の為...
『扉を開けてCSグレネードだ』
『了解。ボス』

レイノルズがドアを開け、ジェラルドがCSグレネードを放り込む。
CSガスの噴出を待って室内へ踏み込む。
人影は無い...いや、デスクの手前に負傷した人質。
『エントリーチームより本部へ。負傷した人質を1名確認』
『了解したEMTチームが待機中』

『こちらシエラ2。エレメントを確認した』 ヘンリーが簡潔に通信。
部屋は左の奥に続き部屋になっている。
シエラ1が容疑者を射殺しているはずなのでそのままドアを開け踏み込む。
容疑者が1名、首を撃たれて絶命している。

『エントリーチームより本部へ。死亡した容疑者を確認』
『了解。続報を待つ』
と本部。
『こちらシエラ1。エレメントを確認した』 ワトキンスだ。

廊下の左側の部屋はクリアだ。
開け放たれた廊下へのドアからは、廊下を挟んだ向かいの部屋のドアが半開きになっているのが見て取れる。
ヒステリー状態の人質達の声もその部屋から...

カッティングパイの原則で徐々に視野をずらして件の部屋の様子を伺う。
座らされた2名の人質。容疑者の姿は見えない。

『エレメント。俺に続け』
囁いてじりじり進むと突然ドアが内側から閉まる。
容疑者に気配を読まれた!

一刻の猶予も無い。ドアを開け、フラッシュバンを室内へ放り込む。
視線を床に移し、耳をヘルメットと肩に当てて炸裂に備える。

『ズガーーーン!』 フラッシュバンが炸裂。容疑者と人質の絶叫が響く。
突入!室内には座らされた3名の人質と、軍用ボディアーマーとガスマスクにAK47と完全武装の容疑者!

『警察だ!手を上げて膝を付け!』
『うわぁぁ!』
AK47を取り落とし投降する容疑者。
すかさずAK47を確保。後ろ手に手錠で拘束する。
『エントリーチームより本部へ。容疑者を逮捕』

『エレメント。合流して3名の人質を確保しろ』
『了解!』

リアガードのジャクソンを除いた3名が室内に入り、3名の人質を拘束する。

『エントリーチームより本部へ。3名の人質を無事確保』
『了解。その調子で頼む』

廊下沿いに続き部屋となっている隣の部屋にCSガスの投擲を指示。
だが勘違いしたジャクソンが合流の為その部屋のドアから現れる。
結果オーライだがこの部屋はクリアだ。

そのままCSガスグレネードを支店長室とエレベーターホールがある反対側の廊下へ投擲。
充満するCSガスを確認して廊下へ踏み出す。
動く人影は無いが、廊下の柱のあたりに2名の人質が撃たれて倒れているのが判った。

『エントリーチームより本部へ。負傷した人質を2名確認』
『了解したEMTチームが待機中』

次は支店長室だ。
『エレメント。CSグレネードだ』
『了解。俺はCSは品切れだ。レイノルズ代わってくれ』
とジェラルド。

ジェラルドがドアを開け、レイノルズがCSグレネードを放り込む。
『容疑者を視認!』 ガスマスクを着けた完全武装の容疑者を見つけたレイノルズが叫ぶ。
俺は咄嗟にフラッシュバンをドアの隙間に投擲。

『ズガーーーン!』 フラッシュバンが炸裂。突入!
『警察だ!両手を挙げて膝を付け!』
室内入り口の容疑者はMP5を捨て両手を挙げ膝を付く。OK!コイツは数秒は何も出来ない。

そのまま前進して入り口からは陰になる部分に廻り込む。
催涙ガスで咳き込む人質と..曲がり角で容疑者と鉢合わせる!!

入り口から陰になっていたので奴はフラッシュバンの閃光を見なかったのだろう。
LR300アサルトライフルを俺に向ける。
『ズバババン!ズバババン!』
一瞬早く俺はMP5の3点バーストを2連射奴のボディアーマーに叩き込み射殺した。
まさに訓練の成果の反射行動だ。

そのまま人質に向かい、後ろ手に拘束して確保。
『エントリーチームより本部へ。支店長を無事確保。容疑者を1名射殺した』
報告しながらLR300を拾い上げる。コイツを至近距離から撃たれたら相打ちだったな...

振り返り、戸口のもう一名の容疑者へ向かう。もろにフラッシュバンを至近距離で喰らったので未だに朦朧としているようだ。
後ろ手に拘束。

『エントリーチームより本部へ。容疑者を逮捕』
『本部了解。油断するなよ。ミッションを継続しろ』

冷静だな。まるで他人事のようだ。

『エレメント。俺に合流!』
『後ろは任せてください。サー』とレイノルズ。頼りになる相棒だ。

次はエレベーターホールへのドア。給電を絶って稼動不能にしてあるので容疑者はいない筈だが念の為クリアリングは必要だ。
ドアを開けるとそこには人質ではないスーツを着た民間人!

『警察だ!手を上げて膝を付け!』
『ジーザス!撃つな!』

どうやら暴動に追い込まれてビルに逃げ込んだ所で運悪くエレベーターの2Fで足止めになっていたようだ。
後ろ手に拘束しながら本部へ報告。
『エントリーチームより本部へ。市民を確保』
『了解。状況の収拾を待って開放する』

エレベーターホールのドアを開けてチェック。OKクリアだ。
これで2Fでまだチェックしていないのは事務室のみ。

1Fロビー同様の金属探知機をくぐって事務室のある廊下のドアへ。
事務室にはバルコニーと廊下にドアがあるが、バルコニー側は俺達がロックしているので出入り口はこの廊下側のドアだけだ。

『エレメント。CSグレネードだ』
『了解』 ジェラルドがドアを開け、レイノルズがCSグレネードを放り込む。

事務室に踏み込む。
『警察だ。手を上げて膝を付け!』

そこにいたのは女性事務員のみ。
『私はここにずっと隠れていたので何も知らないの』
後ろ手に拘束して確保する。
『ヘィ!何故私が犯罪者みたいに手錠を掛けられるのよ!』

その問いには答えず本部へ報告。
『エレメントより本部へ。人質1名を確保』
『了解。対応準備を進める』

これで2Fは制圧した。次は1F。そして地下の金庫室だ。
『エレメント!合流して俺に続け!』
『了解。付いて行きます』

このエレメントチームの連携は最高だ。

エレベーターエリアの近くに2F、1F、B1Fと吹き抜け状の階段がある。
俺達の網のお陰で各階の移動は全てここだけだ。
そして1Fからはどこにも出られない。いよいよ網を絞る時だ。

2Fから1Fへ下方を警戒しながら静かに階段を降りる。
1Fの階段の踊り場に女性の人質。監視は付いていない。罠の可能性もあるが...

『警察だ!手を上げて膝を付け!』
『わ.私は何もしていないわ!』

人質は素直に両手を挙げて膝を付く。

『彼女を拘束して確保しろ!』
『了解』
レイノルズが素早く彼女を確保する。
『あなた達はどっちの味方なのよ!』 後ろ手に拘束されておかんむりの人質を無視して1Fの制圧に着手する。

今居る階段のエリアからはB1Fの金庫室への下りの階段と、宝石加工室への2つのドアがある。
1Fの宝石加工室は3つ。それぞれが連結しており、1つには警備室へのドアもあるがそこはすでに封鎖済みだ。

ここは一気に3つの宝石加工室を制圧するのが一番と判断する。

『エレメント。手前のドアを開けCSグレネードを投擲』
『了解。俺もCSは品切れだ。フィールズ頼む』
とレイノルズ。

ドアを開けCSグレネードを投擲。催涙ガスが充満する。
3つの宝石加工室の内、このドアから接続している2つはドアが開け放たれている。
催涙ガスは両方の部屋に有効だろう。
しかし容疑者の大半はガスマスクを装着しているので油断は禁物。

『エレメント続け!』
宣言して左側の宝石加工室のドアに突入。パーティッションを左に折れると案の定、ボディアーマーにガスマスク、AK47の完全武装の容疑者が背を向けて立っていた。

『銃を捨てろ!』 しかし容疑者は振り返りAK47を...
『ズバババン!ズバババン!』 『ズバババン!ズバババン!』
3点バーストを4連射。12発の9mmFMJ弾を撃ち込んで一気に倒す。

もしかするとまた内務監査で過剰攻撃を問われるかな....

しかしAK47をこの距離で喰らえばこちらが即昇天となりかねない。
今は3つの加工室の制圧が最優先だ。AK47を確保。本部への連絡もそこそこに加工室内をクリアリング。
OK。この部屋はクリアだ。

『エレメント続け!』
再び宣言して右の2つ目の加工室へ。自らCSグレネードを放り込む。この加工室は警備室と繋がったドアをロックしてある部屋だ。
クリアリング完了。
容疑者は警備室を制圧した際に倒した1名のみ。

2名の人質が撃たれて部屋の隅で呻いている。
『エントリーチームより本部へ。負傷した人質を2名確認』
『了解したEMTチームで対応する』

残る加工室は一つだけ。
『ドアを開けフラッシュバンを投擲!一気に突入するぞ』
『了解。サー』


レイノルズがドアを開けた瞬間、加工室の反対側のドアに容疑者!
フラッシュバンを投擲。
『ズガーーーン!』 フラッシュバンが炸裂。突入!
『警察だ!両手を挙げて膝を付け!』

『くそ!奴は逃げたぞ!』とジェラルド。
必死に追って走るが、重い装備と机が入組む加工室が追跡を鈍くする。
容疑者は階段のあるエリアへのドアをくぐるとドアが閉じる。

追跡を続けようとするが加工室の片隅に負傷して倒れた人質が2名。
『エントリーチームより本部へ。負傷した人質を2名確認』
『了解。任務を続行せよ』

貴重な数秒を無駄にして階段のあるエリアへのドアを開ける。
奴の姿は無く、人質の女性が居るだけ。
このドアからはクリア済みの別の加工室か、2Fへの階段か、B1Fの金庫室への3つの道がある。
状況から見て奴が逃げたのは仲間が居るB1Fの金庫室に違いない。

『エントリーチームより本部へ。重武装の容疑者多数がまだ潜伏中。
 アドバイスがあれば願う』
『了解。今のまま油断せず収拾に当たれ』
言ってる事は正しいが簡単な事じゃない...

B1Fへの階段を警戒しながらエントリーチーム全員で静かに降りる。
襲撃時に果敢に抵抗したのだろう。2名の警備員が酷い銃創を受けて階段の踊り場で倒れている。

『エントリーチームより本部へ。負傷した警備員を2名確認』
『こちら本部。了解したEMTを待機させている』


階段を折り切り、金庫室の分厚いドアの正面に位置する。
金庫室の中のキャビネットが邪魔で中を見通す事は出来ないが、複数の完全武装の容疑者が居る事は容易に予想できる。

『うわぁぁぁぁぁ』
『落ち着きな。じっとしてれば死にゃあしねえさ』

人質がおびえる声と容疑者の声がドアの近辺から聞こえる。

『エレメント。フラッシュバンをドア内部に投擲。一気に突入するぞ』
『了解。任せろ』

レイノルズがじりじりとキャビネットを死角にしながらドアに接近。
ドアのすぐ外から声の聞こえたあたりへフラッシュバンを投擲する。

『ズガーーーン!』 フラッシュバンが炸裂。
『エレメント突入!』 ドアを抜け右へ。
『警察だ!両手を挙げて膝を付け!』

完全武装の容疑者はMP5を...
『ズバババン!ズバババン!ズバババン!』 撃ち倒し視線を素早く左へ。
やはり完全武装のショットガンを持った容疑者と顔をつき合わせているのに気付く。
『ズバババン!ズバババン!』 『ドコッツドコッ』
俺のMP5と奴のショットガンが同時に火を吹く。

ほぼ零距離での撃ち合いで奴は血飛沫に包まれ後ろへ昏倒。
俺はボディアーマーがかろうじてショットガンの散弾を防いだが、酷い衝撃と数発の貫通した破片が生暖かい血の感触を味あわせてくれる。

2名の容疑者に脅されていた人質はレイノルズが確保。
俺は金庫室を右端沿いに走り、金庫内の警備室に飛び込む。

一瞬で見て取れたのは2名の人質の警備員、1名の負傷した警備員、そして
MP5を持つボディアーマーとガスマスクで完全武装の容疑者。
『警察だ!手を上げて膝を付け!』

両手を挙げ、投降するそぶりを見せた容疑者だったがMP5を床に置くと見せ
て俺へ発砲!
『ズバババン!ズバババン!ズバババン!』
先手必勝!容赦なく3点バーストの3連射で容疑者を射殺する。

『エントリーチームより本部へ。容疑者を射殺。負傷した警備員を1名確認』

警備室から金庫室の入り口の正面を見る。
エレメントの誰かに射殺された容疑者の死体を発見。
『エントリーチームより本部へ。容疑者を倒した』
『了解した。続報を待つ』

『エントリーチームより本部へ。負傷した警備員を1名確保』
2名の無傷の警備員の人質の一人を自分で拘束確保。

もう一人をジェラルドに拘束させる。

痛む胸を押さえながら金庫室の入り口へ。
倒した2名の容疑者の銃を確保。

『エントリーチームより本部へ。容疑者2名を射殺』
報告漏れしていた2名の容疑者の死亡を報告する。
『本部了解。全て片付くのを待つ』

レイノルズに監視中の人質の拘束を指示。
『落ち着いてください。正義の味方ですよ』 とレイノルズ。
納得せず不満を漏らす人質は無視してエレメントの誰かに射殺された容疑者のMAC10を回収。

ジェラルドが拘束した人質の警備員を報告。
『エントリーチームより本部へ。警備員を1名確保。これで任務完了です』
『了解!お見事だった。デブリーフィングに備えてくれ』
と隊長。

『エレメント。良くやってくれた。引き上げるぞ』
『リーダー。ボディアーマーから酷く出血していますよ。大丈夫ですか?』

『少し目眩がする...悪いが肩を貸してくれ...』

そんな俺をいつものあの幻覚が襲ったのは言うまでも無い。

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p.s.
ガルシア氏を捜せー!!

 Movie   DuPlessis Wholesale Diamond Center

 Photo   整備中で持ってこれなかったSWATM4A1

 Photo   SWAT仕様のMP5A4と装備一式

 Photo   SWAT仕様のMP5A4と装備一式その2

 Photo   SWAT仕様のMP5A4と装備一式その2

 Photo   ジャクソンのSWAT仕様 M3Super90と装備

 Photo   SWAT仕様 M3Super90と装備その2

 Photo   SWAT仕様 Kimber TLEII

 Photo   Kimber製 TLEIIとPoliceBadge

 Photo   SPR仕様のSR16M5

 Photo   SPR仕様のSR16M5その2

 Photo   ボディアーマーで完全武装の容疑者

 Photo   MP5のアイアンサイト

 Photo   善良な市民を装う武器密輸業者ガルシア