Inerk's story 03 "The Test of S.W.A.T. Leader"

【前回までのあらすじ】
日系米国人のイナークは米国陸軍レンジャー、デルタ部隊勤務を経て、NATOの特殊作戦部隊Rainbowに従事していた。
テロリスト達との殺伐した闘い、殺し合いの日々に疲れた彼はRainbow部隊の退役を希望。
クラーク准将の計らいで新米のSPとして新たな人生を歩み始めたが、過去の経歴を買われて市警のS.W.A.T勤務へ配置換えになった。
初出動でシンジケートとの銃撃戦に遭遇するが任務達成に成功した。




俺の名はイナーク。新米の市警のSWATだ。
先日ようやく出動の洗礼を受けた。

SWATとしての初の出動がシンジケートとの銃撃戦、そしてあの忌まわしい超小型核爆弾との再会というドラマチックな体験となった。

今回は爆弾のタイマーの残り時間に余裕があったので息のある容疑者と人質だった武器業者を相棒のクリスと共に安全地帯まで連れ出す事が出来た。

しかし、くたばった方の容疑者がモーリスシンジケートの武闘派の幹部だったので、市警への組織の報復も考えられる。
ここしばらくは忙しい日々になりそうだ。

人質だったロイドとか言う武器業者も逮捕手続きが適当でなかったとの弁護士の申し立てで、早々に保釈になってしまった。
超小型核爆弾がカウントダウンを刻む状況の中で、どこの誰がミランダ法に基づいて逮捕告知をする余裕があるかと小一時間抗議したが、狡猾な弁護士には通用しなかった。

さて。今日はSWATのエレメントリーダーとしての資格試験の日だ。

夕暮れの迫る廃飛行場で、用廃機となった旅客機を使った人質救出訓練に参加する。

装備はペイント弾を使用するサイレンサー付きのMP5とガバメントの模擬銃。
そして本来は災害救助用に開発されたハートビートセンサーだ。
こいつは近距離の前方90度なら、心臓の鼓動を感知して人間の存在位置を壁越しにでも教えてくれる優れ物だ。

詳細なブリーフィングの後、ハイジャック犯と人質役のSWAT隊員が搭乗する旅客機へ強襲を掛ける。
設定されたシチュエーションはこうだ。

拳銃と自動小銃で武装した12人の犯罪者が旅客機をハイジャックして立て篭もっている。
これまでの交渉の過程で航空機会社の搭乗員や、大半の乗客は解放されたがまだ6名の乗客が人質になっている。

犯人達は燃料の補給と新たなパイロット、そして100万ドルの現金を要求し、彼らが本気である事を示すためにタラップで1名の乗客を射殺した。
要求を呑まなければ30分ごとに一人ずつ人質を殺すと宣言し、すでにもう一人の乗客をタラップに立たせて犯人が銃を突きつけている。

SWATチームはブルーとイエローの2エレメントがアサルト。
レッドとグリーンのエレメントがスナイパーとしての配置だ。
俺はブルーエレメントにクリスとチャリーと共に参加し、エレメントリーダーを勤める。

犯人は飛行機の窓のブラインドを全て下げさせているので、スナイパーチームはタラップの犯人と、機外へ逃げ出した犯人にしか対応出来ない。

今回の訓練では俺のブルーエレメントが密かに機体後方の貨物ドアから機内に潜入。
人質を傷つける事無く犯人を制圧する。
俺のブルーエレメントの潜入が犯人に気取られ、人質の無差別殺害と言う最悪のシナリオになった場合にはイエローエレメントが機体前部のタラップから強行突入する。

言い換えれば俺のブルーエレメントの3人が12人のハイジャック犯を迅速かつ密やかに制圧する事が訓練の合格を意味する。

旅客機の構造は簡単に言うと三層。最下層は貨物室や設備室で、開放された人質からの情報では3名のハイジャック犯がいるらしい。
中央層は旅客キャビン。乗客席と前部にはタラップが横付けされている。
乗客席には2名の人質と3名のハイジャック犯。タラップには人質と犯人がそれぞれ1名立っている。
最上層はファーストクラスの旅客キャビンと操縦室がある。
乗客席には2名の人質と3名の犯人。操縦室には2名の犯人が窓をカーテンで塞いで立て篭もっている。

タラップの犯人にブルーエレメントの接近を気取られないために、燃料補給と修理の為に旅客機に向かう整備車両の陰に隠れて旅客機の後方へ接近。
死角となる真後ろから旅客機へ向かい、貨物室のドアから潜入する。
後は日頃の射撃訓練の成果を信じるだけだ。

いよいよ作戦開始。
整備車両の運転手役の警察官に軽く挨拶をしてからブルーエレメントを率いて旅客機に接近する。
旅客機の窓やタラップから見通せない丘の陰に隠れてトラックの接近を待つ。

『こちらレッド。スナイパー配置に付いた』

『こちらグリーン。スナイパー配置に付いた』

タラップの犯人と人質の動向についてはこれでしばらく心配要らないだろう。
我々のブルーエレメントの潜む丘の前を通り過ぎる整備車両に向かって駆け出し、旅客機側から見えない車両の死角の側を併走する。

整備車両が旅客機の真後ろを通過するタイミングを見計らって、併走を止め旅客機に向かう。魚の尾びれのような尾翼の下をくぐり機体後部右側の貨物ドアへ。
ドアの外から中の様子を伺うが犯人の気配は無い。

荷物搬入用のタラップから静かに機内へ潜入。クリスとチャーリーも俺の後に続く。
あらかじめ暗記してある機内の構造を元に機体の前部へ。犯人は3名いるはずだ。
貨物室内の見通しの効く通路へ出た瞬間、2名の犯人を視認。
走りながらサイレンサー付きのMP5の3点バーストモードで掃射。
12発で2名の犯人を撃ち倒す。

犯人役のSWAT隊員は小声の悲鳴と共に迫真の演技で倒れてみせる。
そのまま一気に機体の最前部まで前進。
通路の曲がり角で背中を向けて扉を通り抜けようとする1名の犯人と遭遇。
至近距離から3発後頭部に撃ち込んで倒す。
これで最下層の犯人は一掃した。

旅客席のある中間層へは機体最前部の整備用梯子からハッチを開けて登るか、中央部の螺旋階段から上がるかの選択肢がある。

最前部から上がれば、一方向に集中した状態で犯人に対応出来るが、旅客席まで距離があり、前部のタラップの制圧に手間取るか、潜入を気取られれば旅客席の人質が危ない。ここはやはり螺旋階段からの突入が正解だろう。
旅客席の直前に通じる螺旋階段を静かに登り、旅客席周辺の状況を伺う。

新装備のハートビートセンサーで中央層の4名の犯人と3名の人質の位置を確認する。
旅客席の人質2名は螺旋階段の出口のすぐ近くに座っており、監視役の犯人が1名近くに立っている。
タラップの犯人と人質はじっとしているが残りの2名の犯人はぷらぷらと機体の前部と後部を行ったり来たりしている。

タラップの犯人以外が螺旋階段の登り出口よりも後方に位置するタイミングを見計らう。
人質の監視役以外の移動する2名の犯人が、1名はキャビンの仕切りの向こうに移動。
もう一人もキャビンの後方に歩き出す。チャンスだ!

『ブルーよりグリーンへ。タラップの犯人を排除してくれ』 スロートマイクに囁く。

『グリーン了解!』

ズダーン!機内からは聞こえないがグリーンエレメントの狙撃手のスナイパーライフルがタラップの犯人の頭部に命中させて倒す。
これで我々ブルーよりも機体の前方には犯人はいない。タラップの人質ももう安全だ。

『突入する』
クリスとチャーリーに宣言すると螺旋階段の出口に飛び出し、至近距離から監視役の犯人1名を撃ち倒す。
2名の人質役のSWAT隊員はびっくりした表情で目の前に座っている。

キャビン後方のもう一人の犯人が振り返りこちらへ向かおうとする所へMP5で掃射。声を上げる間を与えずこれも撃ち倒す。最後の一人は後方の仕切りの向こうのキャビンにいてまだ我々の突入に気付かない。

我々のキャビンの前方には、操縦席とファーストクラスのある最上層への螺旋階段がある。
念のため前方の様子を伺うが誰も降りてくる気配は無い。

後方へ向き直り、キャビンの通路を走る。後方キャビンとの仕切り板で一旦停止。
様子を伺ってクリスとチャーリーに目配せすると通路へ突入する。
ちょうど3人目の犯人は通路の扉を通り抜けて来る所だった。

至近距離から3点射。悲鳴を上げる間もなく撃ち倒す。
後は最上層でケリが付く。

機体前方の螺旋階段へ前進。MP5のマガジンを交換する。
そろそろと螺旋階段を上がり出口手前で停止。ハートビートセンサーで犯人と人質の位置を確認する。

乗客席の左右に2名の人質が座り、3名の犯人が人質の間の通路に立っている。
残りの2名の犯人は操縦席だ。全員移動する気配は無い。

キャビンと操縦席は近いので、サイレンサー付きのMP5と言えどもキャビンで発砲すれば操縦席の犯人に間違いなく気付かれるだろう。
同時に5名の犯人を相手にする覚悟が必要だ。しかも人質は無傷で。

ハンドシグナルでクリスとチャーリーに突入を指示。
俺、クリス、チャーリーの順で一気に螺旋階段の出口から飛び出す。
通路の3名の犯人へMP5の3点射を続けざまに浴びせる。ご丁寧にボディアーマーを着込んでいる犯人役がいたのと、3名が重なった位置に立っていたので撃ち倒すのに予想外に弾を消費する。
24発を撃った所で操縦席の2名の犯人が飛び出してくる。

すかさず3点射を放つが最初の犯人は倒れない。もう一度トリガーを引いて最後の3発を撃ち切るとようやく倒れる。
MP5が弾切れの状態で最後の犯人と向き合う。奴はミニウージーを俺に向け...

横っ飛びに移動してサイドアームを引き抜く。
俺は奴の頭を狙ってガバメントのトリガーを引くが、一瞬早く犯人がミニウージーのトリガーを引いた。
俺の横方向の移動は予想外だったのだろう。犯人のペイント弾は、俺の後方に位置していたチャーリーの胸に着弾する。
直後、俺のガバメントのペイント弾は最後の犯人の顔面に命中。

『参った!降参だ!』 苦笑して両手を挙げた最後の犯人役は俺たちの隊長だった。

チャーリーは被弾して凹んでいたがボディアーマーのお陰で命には問題なかったと判定された。

こうしてエレメントリーダーとしての俺の適正試験は無事合格となった。

しかし隊長の手にはシナリオ外の超小型核爆弾が...


                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                    \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                       ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'                             ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
                ゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙

 

 Movie   旅客機を使用した人質救出のSWAT訓練

 Photo

  SWAT仕様の H&K MP5A4 と TLEII


 Photo

  SWAT仕様の H&K MP5A4 と TLEII その2


 Photo  押収品を流用した SWAT仕様 SPR/A

 Photo   押収品を流用した SWAT仕様 SPR/A その2

 Photo   Kimber製 TLEIIとPoliceBadge

 Photo   Shootingに使用した容疑者用 Target

 Photo   MP5のアイアンサイトに容疑者を捉える