Eagle-One's story 19"The Mech Eagle-One" UPDATE!

【あらすじ】
マンシュタインとミルズによるガルシアのセーフハウスへの襲撃を辛くも撃退したイーグルワン。
だがその激しい銃撃戦とセーフハウスの情報漏洩はイーグルワンを内務監査の対象とした。
退屈な尋問と調査。
ぬるま湯に浸かったような昼下がり、イーグルワンは子供のヒットマンに撃たれて負傷する。
幸い命には別状は無かったが入院生活とリハビリ生活の後、イーグルワンはようやく現場へ復帰する。
だがそのイーグルワンにMr.ホワイトのメカイーグルワンの陰謀が忍び寄っていた。


台風直下の市で、銃撃戦が行われていると通報が入ったのは夜半も過ぎた頃だった。

一時は賑わったが、今や寂れたモーテルやドライブインが並ぶかつての歓楽街。
戦争さながららしい。

ミルズと警備会社。思い当たるフシはそれしかない。

俺は運がいいのか悪いのか。まぁ病み上がりのリハビリには丁度いい。G36Cをチームに持たせ、出動しようとしていた。
その時、一人の男が近づいてきた。

「D.E.A(麻薬取締局)のオリバー・ハウエルです。ハンクス警官は?」
『・・・?』
「俺だ」

「少し時間をいただきたい。状況は把握している。その上でいっている」
顔を見合わせるジェニファーとバーンズ。
ハンクスは肩をすくめる。

「バナナ・フィッシュ?」
「・・・首にだって出来るんだ。余計な事はいわない方がいい」

またバナナ・フィッシュか。くそったれだ。だが行動に移ろうとした俺をジェニファーが止めた。その真剣な眼差しは俺を留めるに十分だった。

ハンクス。まぁ、無事に帰って来い。俺たちは仕事に行ってくる

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用意されたセーフハウスで一息つく。
忙しい日々に追われ、銃のメンテナンスもままならない。
ただ、使う事は滅多になくなったのが救いか。

ひとつだけ。どうにもいけない事態があった。
市警として、税金の使い道としてそぐわない人物がいる。
ご辞退願うか。どうも立場を理解していないようだし。

正直、場は把握している。簡単な事だ。
俺か相手か取らせればいい。自負も込みでどっちが得かは首から上が帽子置きでなけりゃ、わかるだろう。
場の空気が悪くなるし、苦情が俺の元にも集まっている。
致し方ないが、俺は自分の生活を守る上に正しい金の使い方も考えねばならない。

命まで取るというんじゃない。運がなかった。それだけだ。
俺にまで事を構えたお前が、どんな勝算があったか。
試してみようじゃないか?
226Rは、滑らかな動きでハンマーを落とした。

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「フリーク?」
「そうだ。Dr.マナーハイムの置き土産だよ。君と同じ」

フリーク。異形のもの。古くはベトナム・ウォーに使用が確認されている。NYのマフィア、ドン・ゴルツィネがそれを利用し財界、政界を牛耳ろうとした事件はもうかすれいく事件のひとつだ。
かつては、バナナフィッシュといわれていた薬物。
アルカロイド系合成薬剤で構成され、投与された人間を命令に従う暗殺者に仕立て上げられた。
その後も研究は進められ、『フリーク』といえるだけの特異体質を持たせる事も可能となった。
Dr.マナーハイムの研究は死後ミルズの手により開花していたのだ。

「フリークが活動を開始した。ミルズ関連ではない、何かだ」
「それで、俺を?」
「そうだ。サトシとは何故パートナーを辞めた?副作用はないのか」
「ええ。今のパートナーとはもう10年来だ」
「・・・」

オリバー・ハウエルは探るようにハンクスを見つめた。
この男が市警でいられる理由は、不明だ。ヘタを打てば自分があぶない。

「フリークは何人です?」
知ってか知らずか、恐らく総てを把握した上ですました顔のハンクス。

「確認できているのは3人。ああ、君がハワイで逃がした彼女は含んでいない」
嫌味たっぷりにいうハウエル捜査官。だが、ミルズアサシンを拘束はできない。

「マックス・ロボはどうしてる?彼が絡むと動きづらい」
「彼はもうこの一件に関与する気はないようだ」

元NY市警のジャーナリスト。かつてバナナフィッシュにもっとも迫った男といえるだろう。ジャーナリズムは、ここに居合わせる二人には好ましくないものだった。

「ブランカは?」
「…どこまで知ってる?」

肩をすくめるハンクス。
「俺をフリークといったのはあんただ。ハウエル捜査官…俺は成功例だ」
「…わかった。ブランカはすでに挙動が不明になっている」

やっかいな事だ。

「ボマーを投与されたんじゃないのか?」
顔に疲れを翳りと残し、懐から取り出したシガーに火をつけるハウエル。
同じくシガーを咥え火をつけながら

「俺の成功がボマーを産んだのさ。Dr.マナーハイムの研究はDr.オーキドが
引き継いだ。だが・・・もう幕引きだな」

「そうして・・・戴きたい。政府もこれはなかった歴史としたいんだ」
「俺の安全は?」
「保障はしかねる。だが、捜査官でいる限りは或いは・・・」
「信じよう」

ニヤリと笑うハンクス。正直は最良の武器だ。いい獲物を持っている。

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フリーク。そしてバナナ・フィッシュ。俺の人生について回る影。
市警になってからこっち、結婚に別れ・・・そして投獄といろいろあったが、それも「人」としての人生だった。
変わらず続くあいつとの縁もまた。あいつがあれを許したのは俺の中ではあり得ない選択肢の答えだった。あいつは俺も計り知れない。
あいつは「人」である事の意味を俺に考えさせる。

イーグルワン。俺が唯一友と認めた、いや。友にしてくれとすがった男だった。

バーで一人酒を飲み、家路(イーグルワンのいるセーフハウス)に向かう道すがら。
ハンクスは一人考えた。俺がフリークでないのは、「人」であるからだと。
本部長は言った。

「お前の前歴がどうだろうが、俺には関係ない。市警として給料を取る以上、それだけの
仕事をしろ。あのバカをお前にあてがう。お前とタメのバカだ」

前歴も全て許容してくれる存在。取るに足らないといった男。噂には聞いていたが、正直驚いた。だが、俺は市警失格だった。苦笑いが頬を彩る。
「人」としての幸せをつかめなかった俺。やさぐれていたのだろう。
まったく恥ずかしい。あいつと向かい合ったあの時、俺はもう負けていた。あいつに撃たれて死ぬなら、それでいいと思った。だが、あいつは俺を仕留めず、今はこうして市警に復帰できた。

まったく、勝てる気がしない。あいつは「人」だ。強い。弱さも含めて、強い。

街頭が照らす人込みの中、歩を進める。前方に、あいつが・・・

こんな時間に家を空けてうろつくなんて珍しいな・・・

いや?あれは誰だ?

ハンクスでなければ、あるいは気付かなかったろう。だが、それはイーグルワンの姿をした「何か」だった。

フリーク?いや、そこまで不可思議な能力は持ち得ない。特殊な感覚、能力を強制的に覚醒させ、人体の負荷を超える反射等は持たせえるが・・・
その者に成り済ます事など出来るはずがない。

反射で懐のМ9に手を入れる。瞬時に目が合う。反応はイーグルワンと同じ。
ならば俺の勝ちだ。フリークであるならば俺に容赦はない。勝てる。

バババンッ

早い。本物以上ってのはいささか、あいつが哀れになるな(90TWOを連射)。
だが、躊躇なく俺に引き金を引く。疑問が確信に変わった。こいつは形が同じな何かだ。
パニックになる群集。往来の中での発砲劇を招いたのは、失態だった。

だが、ここはまず仕留めるべきだろう。死人は銃を撃たない。
М9は額をマウントする。妙な気分だ。二度と銃口を向けたくないと思った相手。
だが、あれはあいつとは違う。あいつを貶める何かだ。

バンッババンッ

一瞬横切る群集をかわし、打ち込む。かわすか・・・フリークに近い。だが違う。

イーグルワンの姿をした何かはそのまま走り出すと、黒いパトカーに乗り込んだ。あんな車両は市警でも使っていない。
ホイルスピンさせながら、発信する。その際もこちらを牽制する弾丸を打ち込んでくる(90TWOとМ9を交互に撃ちまくり)。

群集をかわし、尚且つ目くらましにしつつ的確に打ち込んでくる。
あいつに教えてやりたいほどのテクだった。だが「人」の技じゃない。

フリークでもない。機械的な造作を感じる。

バッチを掲げ、走り去る黒いパトカーを見送る。

「皆さん落ち着いて。市警です。もう安全です」

安全か。いやいや、とんでもない。フリークに・・・そう、メカ・イーグルワン。
機械の様な正確さを持ったイーグルワンのような「何か」。
この街は、新しい驚異に晒されつつあった。

夢なら醒めて欲しいものだ。だが、寝ても俺は夢もみない。
現実だけを踏みしめていた。いままでも。これからも。

イーグルワンに伝えるべきか?いや、まずはジェニファーに話をしよう。
彼女もバナナ・フィッシュ、そしてボマーを追っていた。
理由はわからない。だが、十分な理由だ。つかえるだろう。

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すすり泣くようなサックスが響くバーの一角。
薄暗い灯りが照らすボックスシートで二人の男が、一日の疲れを酒という名の妙薬で洗い流していた。

「最近、あまりにも顔を出さな過ぎだろ」
『ハンクスが別働特務で動き出したし、俺も俺で忙しいんだ』
「確かに、お前たちは働きすぎだ。給料分にしちゃあな」

ケンが、琥珀を溜めたグラスを弄びながら非難めいた眼差しを送る。
ルガーを吊った変わり者。だが、愛すべき市警の仲間だった。

「みんな心配してる」
『・・・そうだな。秘匿義務があるからいえんが、心配させてしまったかも知れん』

市警の仲間は、俺の宝だ。何時いかなる時でも、助けてくれた。
こんな俺が頑張ってこれたのは、みんなのおかげだといっていい。
俺は仲間を決して裏切らない。見捨てない。俺が裏切られ、捨てられたとしてもまぁ、仕方ないとしてだ。

「ハンクスは何やらきな臭い仕事を始めたな。秘匿レベルはお前さんの経歴に近い」
『それはかなりのものだな。F.B.I.にも提出義務はない訳だ』
「・・・そうなのか」

俺の経歴の秘匿レベルは、そういう事だ。中尉に関わった人間、とういうだけじゃない。

「・・・じゃああの子も問題ない、と?」
『ある訳がない。中尉の組織の人間がついている。レールは敷いてあるのさ』

それがいいのかどうか、解らない。ただ、子の幸せを願わない親はいない。

「少し・・・気を抜いたらどうだ?周りはそんなに頼りないか」
『とんでもない。お前たちがいなきゃ、俺はとっくに折れていたさ』

グラスとグラスを合わせる。
嘘偽りのない吐露。まぁ、こなんバーの暗がりで、腹を割って話せる仲間だからこそ。

パッチョは中尉の元に進む決断をした。それを中尉に伝えた時から。いや、恐らくは伝える前からだろうが、SPがついた。世界で一番安全な子供だった。
彼はスキップし、今年はハイスクールに進む。
元々、素養はあったのだ。俺は手助けするだけだ。そしてそれが、俺の張り合いにもなる。

「とりあえず、市警の総意は伝えたぜ。まぁ、市警の外の面子もいるが」
『ありがとうケン。少しばかり不義理をしてしまったな。詫びたていたと伝えてくれ』

振り向きもせずに手を上げて立ち去るケン。
俺は、いい仲間を、仲間たちを得た。このくそったれの世界で、たったひとつだけ神とやらに感謝してもいい。

俺が生まれた街は、寂れた田舎町だった。
かつての炭鉱街。かつての盛況の名残はシャッターを下ろしたままのメインストリートだけが名残として残しているだけだった。

俺の同年代の連中は、大半が街を出なきゃ先はなかった。
多くは軍に。それしか選択肢はなかった。大学にいけるなんてのは奨学生か、ほんの一握りの金持ちだけだった。

俺も、奨学を蹴って軍に入った。まだ幼い兄弟姉妹を食わせるには、長兄である俺の稼ぎが必要だったからだ。
その後、水があったのか俺はNATOの準軍組織に抜擢され、今は異国の地でポリスをしている。弟が大学に行けるだけの仕送りはできた。
来年は、妹が大学に進むという。軍に進むという奴はいないそうだ。
残念なようでもあり、だがそれでいいと思う気もする。

『そうか。リードマン中尉が・・・ああ、自分が決めたなら、それでいい。俺はお前を
信じている。何があろうとな。中尉はあてにしていい。信じるに足る数少ない存在だ。
ああ、それは保障する。そうだな、それでいい』

パッチョ、息子は軍に進むという。様々な選択肢があったはずだ。俺が最初にかけた言葉のせいだろうか。少しだけ、胸が痛む。
あまりいい養育者ではなかったろう。ろくに世話もしてやれなかった。
だが、よくもまっすぐに育ってくれたと思う。中尉の元に預けられるなら、僥倖だ。

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休日ののどかな午後。俺はセーフハウスから買出しに出てスーパーマーケットからの帰りを歩いていた。
マークしていた警官は巻かせてもらった。
彼らも仕事だ。悪く言うつもりをいうつもりはないが、休日の自由は誰にだって保障されるべきだ。自由の国なんだから。

バックを抱える俺を取り囲む男たち。手は銃。

「イーグルワンだな。動くな、抵抗すれば撃つ」
『・・・そんな野暮な真似はしない』
「ふざけた口を聞く。間違いないな。ジェフ本部長銃撃の件で確保する」
『・・・なんだって?』
「動くな、といった」

ゴムスラッグが俺にめり込んだ。
俺が目覚めたのは警察病院。しかも隔離病棟だった。

ジェフ警部長銃撃・・・マフィアの仕込みにしちゃ気が利いている。
本部長が撃たれる訳がない。

俺が撃ったらしい。正面から撃たれたダディは、今警察病院で意識不明の重体だそうだ。目撃情報もあるらしい。そして、それは俺だったと。

ダディは45を携帯していた。ダディが正面から黙って撃たれるはずがない。
油断、といっていい。俺が正面から近づいたとしたら。

だが、俺にダディを撃てる訳がない。

監査は、目撃情報を元に俺を犯人と断定している。俺が撃ったらしい。
それはかなり多数の情報を得ているようだ。市警は、仲間殺しの裏切り者には法を超えて厳しい。鉄の結束を切る者に容赦はない。
そうしなければ、法の守護者として成り立たなかったから。

俺はやっていない。俺はダディを撃っていない。
まったくの冤罪だが、俺がそれを証明する術はなかった。

収監され、尋問される日々。俺はやっていないというしかなかった。

俺がダディを撃つ?何故?アンタッチャブルで居続けた男を?
俺が撃てる訳がない。人として扱われない、内部犯罪容疑者としての日々が続いた。

憔悴しきったとある日。あらゆる権限を越えて面会を申し込む者が現れた。

「・・・いい面になったな」
『ダディ。本部長の様態は?』
「自分よりまず本部長か。今もまだ意識不明の重体だ」
『・・・そうか』

ハンクスだった。あらゆるコネを駆使したのだろう。俺がこうなった場合の
ディフェンスは高い。誤認だろうとなんだろうと。

「・・・あらゆる面で犯人はお前になってる。画像も見た」

防犯カメラに写っている画像も俺として写っているらしい。

「だがな。本部長は面会した俺にこういった」
『・・・』
「あれは、イーグルワンじゃない。その姿をした何かだと」
『・・・何か?俺じゃない何かだと?』
「そうだ。どこかの誰かがお前をはめようとしているんだ」

ハンクスは頷いた。

「お前の姿をした何かが、本部長を撃ちお前の犯行に見せかけようとした。
それが真相だ」

面会の部屋の空気が、色を変える。
ハンクスの全身から漂う殺気が、疲れ果てた俺を、立ち会う警邏の気配を塗り潰していく。

「お前の姿をした何かが、本部長を撃ちお前にすべてを擦り付けた」
『根拠は?』
「お前に本部長は撃てない」
『・・・そうだな。だが、俺の姿を偽者ってのは?』
「サトシから情報が流れた。アンブレラがお前の遺伝子から擬態を作ったという話だ。
あと、機械化されたって話もある。正確度は五分だ。だがなイーグルワン」

遺伝子から何が俺の分身になるのか。そして機械化とは?

「これだけはいっておく。どれだけお前になろうが。俺はお前以外認めない。お前の名誉と誇りを
傷つける全てを俺は許さない」
『・・・』
「俺はもう二度とお前に銃を向ける事はないと思っていた」

 
ハンクスは苦渋の表情を見せた。何事にも完璧な男が見せたただ一度の失態。
泣きじゃくる路頭に迷う子供のような、不安な寄る辺無き苦汁の顔。

『・・・そんな顔するな相棒。俺を助けてくれハンクス。俺の姿をしはた「何か」なら、
お前に任せる』

「誓って。お前の無罪を俺は証明する。お前の姿をした何か。
お前を冒涜する、お前の名誉と尊厳を汚す何かを俺は必ず滅ぼす」

室内に漂う空気。密度を高めるだけの「殺気」だった。

「俺はもう二度とお前に銃口を向けたくはなかった。だが、お前の姿をした何か。
俺は赦せん。断じて。姿かたちが同じだろうが。俺にはわかる。お前とは違う」
『・・・つまり俺と同じ姿をした犯罪者がいるのだな?』
「そんなものじゃない。お前を冒涜して何かだ。俺にもう一度お前に銃を向けさせる何か。
だがな。それはお前に似た何か、だ。俺は迷わない」

まっすぐに見るハンクスの瞳。この激動の日々にくじけそうになる俺を鼓舞するかの
ようだ。俺には信じてくれる仲間がいる。助けてくれる仲間がいる。

「俺はもう一度お前に。いや、お前の姿をした何かに銃を向ける。お前の名誉のために。
お前の冤罪を晴らすために。赦してくれ」
『俺がお前を赦す?よしてくれ相棒。助けてくれ相棒、これだけさ』
「・・・わかった。必ず助けてやるよ相棒。もう少しだけ待っていてくれ」

俺は、かけがえのない仲間を得た。このくそったれの世界で、それだけは誇りにしている。
いや。くそったれの世界で得た最高の仲間。だからこそ誇りたい。

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「・・・私は病んだ者が好きだよ。彼らは私を必要としてくれる。
頼ってくれる。決して捨て置かん。必ず助けてみせる」

市警の監察医、Dr.メフィストはカルテに眼を落としながら言った。
モルグの管理から、負傷した市警の治療まで。すべてを担う医師は24時間。いつでもそこに居た。これからもここに居るのだろう。

「・・・俺にいってるのか?」
「君は、そうだね。病んでいる。No.1で居られるはずなのに、何故No.2で
いるのか。そして何より、エリートでいる道をあえて、踏み外したのか。
興味は尽きない。生い立ちも含めて」

ハンクスは肩をすくめただけだった。

「オーキド・ラボ。アンブレラに下らない孤高の博士。元気でおられるかね?」
「ああ。息災無いようだ。そして俺はエリートでもNo.1でもない。あいつには勝てない」
「彼か。彼はつまらない。病んでいないからね」
「だが、あんたじゃなきゃ助けられなかったろう?」

瀕死のイーグルワンを執刀した医師。死神に抱えられた市警を奪還できたのはこの医師なればこそ、とみんな思っていた。

「私には無理だった。当然手は尽くしたがね。当然だ。必ず助けるつもりでいた。彼が
持ち直したのは、奇跡といっていい。つまらないね。彼の、そう。生きようとする意志に過ぎない」

医師はあっさりと、だが苦渋を滲ませ負けを認めた。

「・・・そうだったのか」
「神とやらがいるのなら、その御力なんだろう」
「神の手に拠らぬ俺には、わからんね」
「・・・私もさ」

雑踏と混乱に変わらぬ混沌をいろなす市警の中で、静謐を保つ一室で
二人は黙って向き合っていた。

「で、イーグルワンの一件だろう?彼はやっていない」
「・・・知ってたのか。そうだ。市警の誰もが信じちゃいない。だが、監査は証拠を盾に
立件を急いでいる」
「そうだな。DNAも彼と同じ、姿かたちも彼と同じ。スキルは迷いがない分上。現代の科特では
彼とするしか出来ない。だが・・・彼ではない」
「ワイズマン?」
「下らない。ちょっと考えればわかる事だ」

そこが知れない医師。多くの、ほとんど全ての市警にとっては頼れる監察医だったろう。
そこを見ようとしない者たちにとっては。

「アンブレラはミルズと提携している。これはワシントンタイムスを読めば解る。で?」
「あいにくタブロイドしか読まないものでね。うっかりしてたよ。ありがとうDr.メフィスト」
「ああ・・・ひとつだけ」
「なんだ?」

「君は、今後も市警でいる自信はあるのか?」
「・・・人で居続けると、約束した。人である限り、ジョブは必要さ」

きびすを返し、医務室を出て行くハンクスを見送るメフィスト。その眼の輝きは、深く暗い。

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拘留されている俺の元に、ハンクスがやってきた。
ジェニファーはともかく、こいつは久しぶりだ。

「元気そうだな相棒」
『ああ・・・よろしくやってる』

差し出す一通の手紙。検閲済なのだろう。封は切られていた。
パッチョからだった。面会はとりあえず拒絶していた。俺にも対面がある。

「中尉の窮地を救ったそうだ」
『・・・』

俺が、血反吐を吐いて登った場所に、あいつはハイスクール同様スキップして登ったらしい。
だが中尉のお役に立てたのなら、何よりだ。後は俺の問題だが・・・

「本部長は意識を取り戻した。Dr.メフィストが死の淵からすくい上げた」
『ダディが?』
「そうだ。言質は整った。法的措置はまだ少し先になるがな。とりあえず・・・」
『?』
「アイリンと大人、Drにルールティンはお前にBETした。ジェニファーやヨシュア達は聞くまでもないな?」
『・・・なんのブックメイカーだ?』
「お前と、偽者の対決にさ。あいにく偽者に乗った奴がいないからオッズは成立しない」


『・・・そいつは素敵だ』
「ああ、キャサリンもお前にBETした」
『マジでか』
「ああ。署のメンバーもまったく賭けにならない有様だ。ここで偽者にBETしたらいい儲けになるな」

「やれるか?」
『なんだって?』
「勝てるか、と聞いている」
『・・・俺に言ってるのか?』

見つめる視線に返す顔は、唇を飾る笑み。

「オーケイ。俺もお前に乗るぜイーグルワン」
『オッズは払い戻しになっちまうがいいのか?』
「十分さ。楽しませてくれ」

本部長の証言が通れば、俺の無実が立証されるかも知れない。
実質異様な話だ。俺じゃない俺を立件して、それが真犯人だというんだ。雲を掴む話だ。
だが、半分方片付いた話だ。後は俺達が片をつける。俺の釈放が為されたなら。
待っていろ。息子に先んじられる程には鈍っちゃいない。
まだまだいい格好しなきゃしまらない。

「国防省からも打診が来てるそうだ」
『中尉に合わせる顔がないな』

本当に俺はいろんな仲間に支えられて今、ここにいる。待っていろ。
持つものの強さ、見せてやるよ。俺は一人じゃない。


--------------------------------------------------イナークハック
しかしイーグルワンにはさらにバイオイナークの脅威も迫っていた。

 Photo   Eagle-OneのP99

 Photo   Eagle-Oneの USPC

 Photo   Eagle-Oneのデリンジャー

 Photo   ハンクスの M92F

 Photo   ハンクスの M92F その2

 Photo   ジェニファーの M92FS

 Photo   ハンクスと対峙するEagle-One

 Photo   ハンクスの M90TWO

 Photo   ハンクスの M90TWO

 Photo   メカイーグルワン モビル1号

 Photo   恐怖のバイオイナーク遺伝子