Eagle-One's story 13 "Code name Rook"

【あらすじ】
ミルズファミリーの襲撃により事実上壊滅したケンのチームの後を継いで、FBI捜査官の事後調査の警護に就くイーグルワン達。彼らを待っていたのは予想通りミルズによる再度の襲撃だった。




ワシントンプラザホテルの一室。
広いロイヤルスィートの室内は常に快適な温度を保っている。
リラックスしたカシミアのセーターを着た初老の男は、ソファに
背を沈め女を見た。

「何故命令に背いた?」
「私は、この命令を待ち望んでいました。今更変更など・・」

スーツに身を包んだ女は無表情で答える。目は猛禽類のように輝いている。
眉一筋動かさず人を殺せる人種特有の気配が漂っている。
呼吸をするように人を殺し、それは心臓の鼓動が止まるまで終わることはないのだろう。

「・・・ポーンを向かわせた。それは承服しろ」

初老の男は隻眼を黒革の眼帯で隠していた。残る一眼は鋭いが、何も光を映していなかった。
ミルズ・アサシンを総括する男だった。
ミルズがアサシンを事業としてから、彼はそれをビジネスとして立脚するまでに成り上げた。
世界どこにでも、どんな仕事だろうと対価を払えばそれを行う。
引く手は数多だった。ミルズ全体からすればわずかな一部門だったかも知れない。

「・・・イーグルワンは奴とつながりがある」
「リードマン」
「そうだ。介入を招く事は決して許さん。それだけは必ず履行しろ」

最初は南アでの要人暗殺業務だった。
簡単なはずの仕事が、一人の男の偶然の介入により初の失敗をみた。

南米、アメリカと事業の失敗を迎えるに辺り、組織は男の暗殺を決定する。
これ以上の阻害は業務不履行となるからだ。簡単な仕事のはずだった。

結果、すべてを排除した挙句討って出たリードマン中尉により組織は2/3の
損失を受け壊滅。2年間にわたる潜伏を余儀なくされた。
以来組織はかの男の存在を感知した時点で任務を破棄し、関わりの一切を排除していた。
「世界の警察」の一員であるというバックアップがあろうがなかろうが、今後の方針に変化は
ない。苦い記憶として組織に浸透している出来事だった。

「・・・最強のアサシンはもう突き止めた。もうすぐ手に戻る」
「納得できかねます。あんな子供が・・・」
「すべてにおいて完璧だ。お前だろうと話しにならんよ虎」

空気が軋んだ。部屋を覆う快適な空気は明確な密度を持って埋められた。
それは殺意という。

「私を虎と呼ぶな」
「年齢など関係ない。アサシンとしての素養、素質。すべてが我々が求めるものを
満たしている。ポーンを向かわせているが・・・お前の我侭は危険の一言なんだ虎」

ミチミチと軋む空気を意にも介せずいい放つ初老の男。踏んだ場数はこんな空気など
そよ風にも感じなかったろう。そんな男が隻眼になったのは・・・かの男のせいだった。

「だが、私はあいつを殺す」
「惚れたか」

男の問いに、女はにぃっと笑った。

「ええ。殺すに値する」
「・・・必ず遂行しろ。奴が介入しないなら」
「しない。あいつはそこに頼ったりしない」

椅子に沈み込んだまま、探るように見つめる初老の男に臆した風もなく
見つめ返す女。染み付いた血の匂い。殺戮の記憶がその輪郭をかすめさせる。

「いいだろう。バックアップは用意してある」
一枚の写真を取り出し、テーブルに無造作に放る。
「これが今回のルークだ。ポーンは盤から消えたが、チェックはお前が無理だとしても
ルークが行う。不服ないな?」
「・・・好きにしろ。私は私の望む闘争を行う」

ミルズアサシン再興に2年。最強のアサシンはとある東洋人と失踪し、今またかの男の
介入の危険すらある事業に乗り込もうとしている。
もしスミスの耳に入ったなら、部門が消し飛ぶかも知れない。
だが、初老の男もまた、規律を常軌からは逸した男だった。

「楽しめ。命令だ」

ガルシア・フランシスコ・ペタス。
公開捜査に踏み切られた写真を目に焼き付けつつ、俺は席を立った。

『ようこそ・・・』
「今度はあんた達か。まぁよろしく」

F.B.Iの捜査官は差し出した手を無視し椅子に腰掛けた。
俺は手を戻すと話しに戻る。

『前回は失態をお見せしました。まだ途中だったと思いますが』
「ああ。続きをまず見せてもらおう。話はそれからだ」

ケンはガルシアの組織の形跡、そしてミルズが関与したであろう現場を
なぞる途中で衝撃されていた。
街中での銃撃戦。本当に群集の中からいきなりの襲撃だった。

ケンは一発も撃てぬまま、傷を負っていた。
群集への誤射を恐れたのだろう。そんな男だった。
だが、見識は一つの結論を導き出していた。
背後からの射撃。昏睡するケンは、俺にメッセージをくれた。

そんな事があったのに、まだ続きをなぞれという。
ハンクスは肩を震わせ笑いを堪えている。時々、この男が俺はわからなくなる。

『判りました。ではご同行ください』

くたびれたシェビーを前に、捜査官は口を歪めながらもまずは乗り込んだ。
ドライブとシャレこもう。

ガルシアのいたビルを通り、ミルズの組織が関与していたと思われる
輸出禁止物品の積荷が押収された埠頭の一角を目指す。
ロートルのシェビーには俺とハンクス、捜査官。
後ろに続く車にはジェニファー、ヨシュアにバーンズ。

「なぁ。こんなに大物や大事を起こす輩が集まるのは、この街がザルって事なのか?」

くそったれなゴロワースにデュポンで火をつけながら、捜査官は口を開く。
ハンクスは俺に目配せする。もうやる気満々なハンクスを同じく目配せで制しつつ
『おっしゃる意味がわかりません』
「なんで俺まで襲われなきゃいかんのかっていってんだっ」
『仕事だからでしょう。それも給料のうちです』
「ぐっ・・・」

言葉に込めたいろいろな感情が、F.B.Iの次の言葉を封じる。
ケンは俺のダチだった。バンドメンバーもみなイカしていた。
ダチに手を出す奴を俺は許さない。俺の思いを汲んだのかハンクスがいう。
「熱くなるな。それが狙いだ」

車は埠頭に着いた。
襲撃に備えてメンバーを連れてきたが、あまり当てにはならないようだ。
もうジェニファーもヨシュアも姿を消している。
己が為すべきポジションに散ったのだろうが、一言あってもいいだろう?
リーダーは一応、俺だ。
今の所港湾関係の作業員が忙しく仕事をしているだけだ。
気配はない。ハンクスも煙草に火をつけている。

倉庫はもうすぐだ。今は借主は別に企業がついている。

『ここが例の倉庫です』

ハンクスが俺の胸倉に手を伸ばすと引き倒す。
頭のあった位置を弾丸が走り、倉庫の壁が穿たれた激音を放つ。
しばらくして銃声。
何故、ハンクスはわかるのだろう?奴の経歴を俺は知らない。
言わないから、聞かない。

『スナイパーッッ』
俺を引き倒すと、捜査官を蹴り倒し物陰に隠すと一緒に飛び込むハンクス。相当腹が立っていたらしい。
バーンズも慌てて俺と物陰に潜む。

「2時の方向。排除するわ」
ジェニファーからのインカム。
「排除した」
ヨシュアからのインカム。
リーダーは俺なんだが。

『無事ですか?』
「・・・そう思うかね?」
『ええ』
「・・・無事だ」

『その他何か確認できるか?』
「スナイパーはいないわ」
「要撃もいないようだな」

ジェニファーもヨシュアも、同時にインカムを返す。だが俺のうなじは毛を逆立てたままだ。

『いるな?』
「ああ。熱くなるなよ」

ハンクスの返答。

間をおかずに銃撃。隠れるコンテナに跳弾。
脊髄反射で両手に握った銃で、反撃する(壁から身を乗り出し銃撃)

「熱くなるな。俺が出る。援護しろ」
ハンクスからのインカム。いわれるまま、走り出すハンクスをカバーする。
捜査官は俺のいるコンテナに走りこむ。

走るハンクスを掠める銃撃。ジェニファーとヨシュアの慌てた気配とインカムから
伝わる吐息。バーンズの遅れて響く援護射撃。

「わっわかってるだろうなっ」
背中で喚く捜査官。なるほど。こんなロケーションだった訳だ。

(インフィニ92Fをターゲットに的撃ち。インフィニすごく当たる)

『気をつけろハンクス。奴がいる』
火線を追うハンクスにインカムで囁く。背後には捜査官。
「俺も・・・」
『いってみるか?』

いきるバーンズに俺は微笑む。
ジェニファーとヨシュアのカバーはまだ遅れるだろう。
ハンクスはどんどん先行していった。
走り出すバーンズの背中を見送る。まぁ奴もまだ若い。仕方ない。

「奴らで十分なのかっ?」
背後から捜査官。
『問題ないでしょう。何かあっても貴方は無事だ』
「そうか。・・・ならいいな」

身をよじった俺の身体があった場所を火線が貫く。
腕を決め顎に膝から抜いたデリンジャーを突きつける。
『どうしたってんです?穏やかじゃないですね』

デイファイアント・デリンジャー。
下町のガンスミスが作ったカスタム。こんな形でお目見えするは。

「ぐぅっ・・撃て。もう終わりだ」
『始まりですよ。何故俺を撃つ。いや・・・ケンを背後から撃った?』

撃った銃はライフリングが3丁目のルールティンが撃った銃と
一致していた。
そしてケンは背後から撃たれていた。


倉庫の影に飛び込んだハンクスは、むしろ泰然と歩を進めた。
物陰から様子を伺うでもなく歩を進める。

「よう。また会ったな虎。お前だったのか」
「・・・貴様に用はない。失せろ」

ミチリと軋む空気の中、あたかも中世のガンマンのように対峙するクィーンとハンクス。

「相棒はすっかり血が登っちまってな。俺がお相手するよ虎」
「・・・私を虎と呼ぶな」

にっと笑い
「熱くなるな。だからお前は半人前なんだ」

(「すべてにおいて完璧だ。お前だろうと話しにならんよ虎」 )
頭をよぎるボスの台詞。白くなった頭のまま、クィーンは引き金を引く。
身を翻し弾丸を放つハンクス。
(気分だしまくりでCzM9を撃ちまくる)

「そんなにかっかすんなよ虎」

9mmが掠め飛ぶ中、更に挑発するハンクス。
銃口が自分に向いたときのみ威嚇射撃を行っていた。

「きっ貴様何故私を虎と・・・まさかっお前・・」

バンッ

「・・・野暮だぜ虎。それをいったらお楽しみも終わりだろ?」
どうっと額を撃ち抜かれ倒れるクィーン。後には沈黙。


「どうした・・・撃て」
『俺は裁く立場にない。司法がお前を待ってるぜ?』

ルールティンから銃を買った男はのちに捜査官と判明した。
ライフリングが未登録な銃を所持しいていたという点から、ミルズの息がかかっていたと
証明されるまではさほど時間がかからなかった。
彼はコード・ネームを『ルーク』といった。

彼を護送する車両は不慮のガス爆発により炎上。死人に口なしとなったが、どちらの
仕事かは不明のままだった。
F.B.Iは彼を事後免職していたし、ミルズの全容は知れないまま。

 Photo   Eagle-One用のシェビー

 Photo   Eagle-One用のシェビーその2

 Photo   Eagle-OneのP99 

 Photo   Eagle-OneのUSPC

 Photo   ハンクスのM92F

 Photo   ハンクスのM92Fその2

 Photo   ジェニファーのF92FS

 Photo   ヨシュアのSW1911

 Photo   ヨシュアのSW1911

 Photo   バーンズのインフィニティ

 Photo   Eagle-Oneのデリンジャー

 Photo   クイーンのCz75