Eagle-One's story 10 "The Start of End"

【あらすじ】
新たに新人のバーンズを迎えたイーグルワンの特捜部は武器密輸のガルシアファミリーを襲撃する。激しい銃撃戦の中で新たな敵、ミルズファミリーのアサシンと対峙する。




終わりの始まり〜プロローグ〜

柔らかい日差しが差し込むホテルの最上階。
フロアをすべて借り切った一番奥の部屋に、彼女は招かれていた。

「これが獲物」
「そうだ。こいつを始末しろ。必要なものや人員がいれば用意する」
「・・・必要ない。こいつは知ってる」
「フヒィヒィッ!そうだろうっだろうともっならやり方もわかってるなぁ?」
「わかっている」
「ところでサー、スポンサーが尻尾をつかまれたようですが・・・」

サーと呼ばれた男は一瞬ニタリと笑い、だが真顔に戻った。

「まだ潰されるのもおもしろくないし、俺たちを探られるかも知れないぃ」
「判りました。クィーン、そのように」
「わかった。挨拶にもいいだろう」

クィーンと呼ばれた女は、長いブロンドをなびかせ身を翻した。
タイトなスーツは、左肩が長い。足取りは押して然るべき。
そのまま、一部の隙もない動きで部屋を出て行く。為すべき事をするために。

「フヒィッ!ミルズのアサシンかぁあれがっおっかないねぇ〜」
「我々のやり方は少々行き過ぎでした。初手で決められなかった以上、こう
いったやり方でもいたし方ありません」
「知ってるっていったなぁ?どうなんだろぅ」

柔らかな日差しが差し込むホテルの最上階。澱んだ、陽の当たらない世界を
生きる者たちには相応しくなく、廃頽ですらあった。

 それはとある地道な捜査官の発見からだった。
足で稼ぐ、そんな基本を守り続けた来年退職する一人の男が、ついに
見つけ出した。ウォーモンガーの手がかりを。

やつらに火器を売った組織

 それは最近台頭してきた今だ小さな新興組織だった。
まったくノーマークだったといってもいい。
 その組織がかのロックフェラーの首を獲ったと知るのは、後日談だ。

「バーンズ。初陣だな。どうだ、気分は」
「特に何も。こんな仕事なら俺一人で十分ですよ」

肩をすくめるハンクス。苦笑いは若さへの敬意か。
俺はイカれたシェビーで、『事務所』へ向かうパトカーの列とは
外れた路を進んでいた。俺たちはイレギュラーユニットだ。
ジェニファーはいまだ復帰しないが、ヨシュアも別働でタックしている。

レインボウ。かつて俺が籍を置いていた組織を再現したい。
そんな願いが本部長の力で実現しつつある。・・・んだが、どうも
こいつらは連携といったものに向いていないようだ。

現場は多数のパトカーが包囲し、不穏な雰囲気に包まれていた。
大人しく捕まってくれるようなタマじゃなさそうだし、市警の仲間も
ただで済ませる気はなさそうだ。やれやれ。

「事務所」のあるビルは完全に包囲されていた。

市警はほとんど総動員で事にあたっている。
くだんの出来事を鑑みれば、当然ともいえた。
俺たちの怒りの捌け口を見つけたんだ。後は芋づる式に
ウォーモンガーどもを引きづりだし、教育する。

(アイドリング終わり。妄想シューティング始まりw)

俺たちは裏口から突入を開始した。手馴れた手付きでハンクスが
開錠する。俺は片手にP99。ハンクスはM9、バーンズはインフィニティの6インチ。

フロアをクリアリングしながら歩を進める。部外者は退避しているはずだが、逃げ遅れた
奴もいる可能性がある。慎重を要した。
(銃を持って部屋をうろうろ)

突然、絹を裂くような騒音の重奏が轟いた。上、「事務所」のある場所だ。

「奴等、マシンガンを撃ってきたっパトカー数台が被弾っ炎上中っ」
無線から表にいた警官達の悲鳴交じりの通信が届く。

「無茶しやがる」
『急ぐぞ』
「この音・・・MGか?」
『M42だろう。パトじゃ盾にもならない』

階段をクリアリングしながら進む足取りが急く。スナイパーが不在の市警。
窓を制圧できない以上、このままじゃ鴨撃ちだ。

じれたバーンズが一足飛びに歩を進めた。確認もせずにフロアに出る。

ババンッ

「っ!」
『ふっ』

もんどり倒れるバーンズをカバーし銃を撃つ。肩口を撃たれたようだが、
防弾で防げたはず。自分を的にアタックするとは、恐れ入る。

ちらっと見えたなびくブロンド。うなじに厭な感覚が走った。
後ろではバーンズの襟を掴んでハンクスが階段に引き摺り下ろしていた。

「授業料だ。安くてよかったな?」
「shit」

バババンッ

放たれた弾丸が壁をえぐる。的確な威嚇だ。だが今もノコギリは市警のパトカーを
刻み続けている。時間が惜しい。

『援護しろ』

いうが早いかフロアを横断する。通路に身を入れれば間を詰められる。
間髪いれずハンクスが相手の潜む壁に威嚇を放つ。
背中を任せられる。ツーマンセルが楽かも知れんな。

ふと見えた顔。ブロンドの女。いやな予感は的中したらしい。
相手も俺を見て、何か確信を得たようだ。

『ハンクス・・・ミルズのアサシンだ』
イヤホンインカムで囁く。ついてない。二度と会いたくない相手だった。

「本当か?前にいってた奴って事か」
『ああ。ここは突破できんかも知れん』

以前、潜入捜査の過程でしくじったことがただ一回あった。
その際追っ手をかけられた。それがあのブロンドだった。
名は・・・クィーンといったか。Cz75を獲物にしていた。
その場は、俺は腕を。クィーンは脚をそれぞれ分け合い俺は逃れる事に
成功していた。そう、逃げるだけが精一杯だった。
 組織はロックフェラー一家。その後抗争で消滅していた。

私怨で追ってくるはずがない。アサシンはそういった類ではない。
ならば、ミルズに依頼したのだろうか?なんにせようまくない。


銃撃の重奏の中、アルマーニのスーツ姿の男が姿を現していた。

「皆さん、そのまま聞いてください。私はあなた方を助けに来ました」
鈴のような軽やかな、柔らかい声。爆音の中でも変わらず届いた。営業をやれば
トップになれるだろう。だが、血の匂いが染み付きすぎていたが。

「なっなんだお前はっ?!」
「どっどこから入ってきたっ」

にこやかに一礼すると、男は
「あなた方のボスはもう私どもの手引きで逃走しております。あなた方も是非」
慇懃に頭を下げると
「申し遅れました。私、ポーンと申します。ミルズという組織から派遣されております」

ババンッ

『ふぅっ』

俺とハンクスは二人がかりで銃撃したが、クィーンを押える事が
出来ずにいた。突入する隙がない。
この狭い通路では必ず的になる。動く標的だろうが、はずさないだろう。

「参ったな。たいした女だ」
ハンクスの苦笑いがインカムから響く。舌を巻いているようだ。
だが、クィーンもまたうって出てこない。彼女もまた同様なのか。

それとも・・・時間稼ぎか?

マシンガンの音が消えた。パトカーの爆発する音、喧騒がかすかに聞こえてくる。
静寂の中に殺気だけが漂う。

すっとブロンドが通路に姿を現す。手にした銃は下げたまま

「っ」
『・・・』

黒いスーツにタイトスカート。キャリアのようないでたちだ。
唐突な出来事に、引き金を引く指が動かない。

「イーグルワン・・・楽しみに待っていろ」

赤いルージュをひいた唇が、そう動いた。そのまま姿を隠し、彼女は消えた。

悲壮な有様だった。

パトカーは炎を吹き上げ、穴だらけにされたまま晒されている。
銃創を負った市警の搬送が立て続けに行われている。
殉職したものは5名。ありえない事が続いていた。

「事務所」はもぬけの空だった。逃走に使えそうな地下から続く通路、下水道
に至るまで封鎖していたのだが、爆破して作られた逃走路があったらしい。

市警の威信は地に塗れた。
俺たちシューターも、また存在意義を問われている。
本部長は、そのまま捜査の続行を決めた。


「サー。無事任務完了のようです」
「イーグルワンの首が届いてないぞぉ?今日持ってくるんじゃないのかぁ」

スーツ姿の男女は、対照的な対応をした。女は黙ったまま。男は
「サー。楽しみは先にあったほうが人生は楽しいものです」

スーツの胸にさしたモンブランの万年筆を取り出し、指揮棒のようにふりながら
「プランがいくつかあります。お好みの方法で・・・」

 Photo   Eagle-OneのP99

 Photo   ハンクスのM92F

 Photo   バーンズのインフィニティ

 Photo   クイーンのCz75