Eagle-One's story 07 "The Untouchable"

【あらすじ】
イーグルワンを始めとした市警の尽力でようやく暴動は収拾を見た。ささやかな平穏の中でイーグルワン達はショットガンダディこと本部長の伝説的な活躍に思いを馳せ新たな戦いに備える。




頭は抑えられなかったが、おいたした奴等をお尻叩いて
今は収束に向かっていた。
復旧も進んでいる。随分ひどい有様だった。
ソマリアにでもなったかのようなものだ。
大統領はテロであると声明を出した。だが、犯人は捕まらんだろう。
よほどの間抜けじゃなければ、今はもうステイツにはいなかろう。
間抜けか、イカれた奴じゃなければ。

おそらくまだいるだろう。
だが、今は俺たちは謹慎処分という事になっている。お払い箱だ。

「・・・なんでお前たちここにいる。謹慎処分にしたはずだ」
『ええ。だから謹慎してるんですよダディ』
「家にいるんです」

本部長はハンクスと俺をしかめっ面で見る。
「まだ家を探してなかったのか。うろうろするなよ」
肩をいからせ立ち去る。不眠に近いだろうに、まったく疲れた風もない。
まだまだ本部長は内外の処理で、同じ屋根の下に寝泊りする。
素敵なアパートメントだ。

「ジェニファーの件、聞いたか?」
『どうかしたのか?知らないな』
「あずきバーとやらで動いてるらしい」
『・・・そんなバーこの界隈にあったか?』
「飲み屋じゃない。だが何かはわからん。DEA(麻薬取締局)も同行してるそうだ」

肩をすくめるハンクス。情報の早いハンクスにも
掴めないとなると、秘匿レベルはかなり高いとみていい。

「きのこ雲がなんとか、決着をつけるとか言ってたな」
『きのこ雲?DEA絡みだと、マッシュルームか?決着・・・』
「ロスのSWATにきのこ雲って仇名の奴がいるらしい。最近は
トリガーハッピーに改名したらしいが」
『ハレルヤ!一度呑みたいな。で、きのこ雲だかあずきバーは』
「バックアップが必要なら、いつでも呼べといってある」

アメリカンスピリット(赤箱)に手を伸ばし、二人火をつける。
イムコライターで火をつける。オーストリア製のブリキだが、長く使っていた。

「・・・本部長にもらったやつか」
ハンクスが咥えたシガーにも火をつけてやる。
『ああ。ダディ・・・ところでダディが「ショットガン・ダディ」って仇名になったのは
娘のボーイフレンドにショットガンぶっ放して追っ払ったのって本当か?』
「ああ。みんな知ってる」

肩をすくめて頷くハンクス。
『マジでか』
「ああ。知らないのはこの署ではお前とキャサリンくらいのもんだ。みんな
いつ気付くか賭けてた」
『なんてこった』
「知ってるか。本部長をダディって呼ぶのはお前だけだ。本部長は仇名が
嫌いだからな。前に影で呼んでた奴は飛ばされた」
「マジでか」
「ああ。お前は今のところ無事らしいな」
『なんてこった』

忙しく人が行き交う署内のロビー。みんな俺たちを目にとめると笑っていた。
ハンクスがいる。仲間の復帰は嬉しいものだ。

「いつ気付くかみんな賭けてたが、みんなはずれた」
『・・・ブックメーカーは?』
「俺だ」
『・・・なんてこった』

吹き出すハンクス。チェアーも込み合ってきた。まだまだ増えるだろう。

「そうむくれるな。一杯奢ってやるよ。レンジに行こう」
『・・・レンジでシュートなんかしてたら、またどやされないか?』
「レンジがある家なんかそうはない。ご機嫌じゃないか」

差し出された手を握り立ち上がると、俺たちはレンジに向かった。

ダディにいい加減追い出され、行き着いたこの部屋。
狙撃には不向き。突入しようにも、ままならない。
そんな一部屋を押し付けられて、まぁ着の身着のまま移動した。

『・・・・なんでついてくる』
「俺も家がない」
「旦那を守るようにいわれてたからね」

スリーメン&ベビーか。ベビーはいないが。
ハンクスとパッチョは少ない荷をもう広げてまあまあ広いアパートメントの
部屋を領土に決めていた。

『ハンクス』
「お前が俺の身請け人なんだ。お前の監視下に俺は自由を認められてる」
『・・・パッチョ』
「ダディがいなければ僕はもうこの世にいない。ダディがしろといったら、僕は
するんだ。お願い旦那」

取り急ぎ購入したソファがセットだったから、よかった。
テレビはまだ見れないが、当直室のものをパクッてきた。
フットボールもそろそろシーズンオフ。バスケットはあまり興味もない。
「○○○○(俺の本名。募集w)手紙がきてる」
『・・・なんだ?』
「ローン会社だな。愛車に乾杯。ターキーならあるが?」
『・・・いただくよ』


ショットガンダディ。シン・シティ(罪の街)といわれたこの街に、法と秩序
を教育した男。その存在はもう生きる伝説であり、法の具現だった。

犯罪が酸素のように充満し、当たり前のように行われていた街。
不正が蔓延する警察署から粛清が始まり、街に浸透していったという。

当然、生半可な事ではなかったはずだ。アンタッチャブルであり続ける事は
ヤワな人間には出来ない。仲間の中に敵がいる。
いつ寝首をかかれるかわからない日々。だがダディはヤワじゃなかった。

朝飯を食うように汚職を暴き、爆弾が仕掛けられた車を乗り回し
弾幕の中をショットガンを手に舞った。

罪の街の住人は本当に手が出せない『アンタッチャブル』を知った。

まず署内が変わり、賄賂が無駄となったギルドが次々と消滅していった。
街頭に売人はいなくなり、娼婦も消えた。
法と秩序を学んだ住人は、まっとうに生きる術を知った。
この間の騒乱でちっとばかりおいたをした奴らはいたが、ダディを知っている
者はみんな善良な市民「ジョニー・アップルシード」だった。

まだ終わっちゃいない。市警の誰もが知っていて、自分が
すべきジョブをこなしていた。

奈落の底のようなくそったれな街。まだまだそんな評価が相応しい。
つい最近秩序が戻ったのだから。
だがもう二度とその秩序は失われない。ダディの鉄の意志は署内に
根付いている。俺も、そんな空気が気に入っているんだ。

ダディはまだ街にいる。それが単純に、だが完璧な抑止力になっている。

いかれたウォーモンガー狩りが始まろうとしていた。
鉄の男の指示の元に。ダディもまた、首領はステイツにいると踏んでいた。
俺の、俺たちの街を蹂躙したイカレ野郎が。

おいたした住人の多くはかつての事を知らない、移住した者たちだった。
多くはこの街の仕組みを理解しただろう。教育の成果だ。
二度目はない。約束しよう。もう二度とそんな事はしないと誓うだろう。

お前もだウォーモンガー。俺たちは動き出した。
本当の「アンタッチャブル」を教えてやろう。エデンのリンゴはお前のものには
ならない。








 Photo  ショットガン・ダディこと本部長

 Photo   ハンクスの喫煙具

 Photo   ジェフ警部のショットガン

 Photo 銃の整備に余念が無いハンクス