Eagle-One's story 06 "The Carnival"

【あらすじ】
イーグルワンを付け狙う傭兵集団が市の分署を爆破。さらに市全体を覆う暴動を扇動する。州兵まで動員される戦争さながらの街へ、イーグルワンはかつての相棒ハンクスと共に戦いに臨む。




カーニバルの始まりだった。市警の分署が襲撃、爆破された。
治安の要。どんな糞ったれだってそこに手を出そうとは思わなかった。
一人でも警官を殺せば、俺たちは全組織力を動員して相手を潰す。

全国に展開する組織力を駆使して。生半可なギルドでは太刀打ちできない。
法の番犬であるが故に、組織として舐められたら終り。
そんな鉄の鉄則が血管を駆け巡っている。警官一人の命は、相手組織の壊滅で
贖なければならない。
そのアンタッチャブルの鉄則に楔が打ち込まれた。

市街戦さながらだったらしい。RPGが空を飛び、取調室を吹き飛ばした。
分署とはいえ、ここは猛者がたどり着く掃き溜めのような街。
事務員すら戦った。その魂に栄光あれ。

だが今分署が管轄していた区域は無法地区になってしまった。
略奪が横行し、箍が外れた市民がおいたをしている。

「あってはならない。おいたした奴等。分署の仲間に手をかけた奴等を
教育してやらねばならない。市警に楯突くとどうなるか、教えてやれ」

本部長はにこやかにみんなに言った。
本部長が上機嫌に微笑むってのは地獄の一丁目だ。本気でブチ切れている。
ブリーティングに居合わせた不幸な面々は俺も含めて、みんなブルッていた。

ショットンダディーを怒らせるのだけは、やめておけ。

生きる上で忘れちゃいけない不文律だ。この世は不完全。
だがその不文律だけはパーフェクト。黄金律といっていい。

だがその怒りは、俺たちの鉄の結束にたやすく伝わる。
仲間に手をかけたウォーモンガーを、教育せねばならない。
警察組織に手をかけて、無事で済む訳がないと再教育せねばならない。

州知事は州軍の導入を決定した。治安維持のため。
だが、軍隊は弾を撒くのが商売。面の制圧は出来ても、点を抑えられるのか?

街は、俺たちのものだ。目を瞑ったって端から端まで踏破できる。
暴徒は押さえ込んで放り込む。ウォーモンガーはドックタグにタップして地獄送り。

本部長の指示は実に明確だった。
まったく解りやすい。学がない俺たちにも噛んで砕いて伝えてくれる。

「それと、イーグルワン。超法規的措置でハンクスが今回参加する。お前が面倒みろ」

ハンクス。市警のお偉方も奴の実力を無視できなかった訳だ。
奴はショットガンダディーを継ぐシューターと目されていた。

『オーライダディ。首に鈴をつけときます』
ハンクス。この一件はもう片付いたも同然だ。
隣りに座るジェニファーが俺の手に手を載せる。無言だが、伝わる思いは同じだ。

たった一つだけ、感謝してやるウォーモンガー。だが、仲間にしでかした事のツケは
きっちりとつけるぜ?ママに泣きつくなら今のうちだ。

「よぅ相棒」
「・・・よぅ。家と車に乾杯」

非常事態宣言が発令されている市警の一室。俺たちは再会した。
何も変わらない。それでいい。

「的はお前だな?」
「多分な。俺を狙わず仲間をやった」
「・・・そうだな。俺が力になるぜ」

ハンクス。まっすぐに俺を見る。もういろんな事を吹っ切ったらしい。
俺は唇をゆがめて笑うだけだった。男の顔は人生が彫る。
俺はどんな顔をしていたろうか。

「寝床は?」
俺は肩をすくめ手を広げた。
「ここか?」
「ああ。最高さ」

『ナンシーより緊急連絡。バッキーストリートで州軍と暴徒が交戦に入りました』
「グレイトだよ」
「頼みますよ」

俺たちは再会もほどほどに走り出した。言葉なんか要らない。俺たちには。
相手は暴徒じゃない。俺の勘は、ハンクスの目配せで確信に変わった。

州軍のヘリが空を飛び、装甲車がメインストリートを走り抜けていく。
バグダットさながらの様相だがここは俺の、俺たちの街だ。

要所の警備という名目で、各署も動員され出動している。
S.W.A.Tも一部のチームが手を離せない案件に出動していたが、参加している。

敵は軍隊。だが軍服は着ていないし、パニックの群集や、暴徒の中に
まぎれている。
州軍の制圧で抑えきれるものか。

『行こうぜハンクス』
シェビーに乗り込む俺に、ハンクスはシュルダーの位置とマグを確認しながら
「別行動か?また本部長にどやされるぞ」
『俺たちはイリーガルユニットさ。警護は制服組に任せよう』

ジェニファー、ヨシュアも警護する気は更々ないようだった。
俺たちはチームで行動する。

後部座席にはむくれた顔のパッチョがいた。
「旦那。こんな家はよくないよ?身体にも心にも」
「・・・新しい相棒か?」

笑うハンクスに俺は肩をすくめて、頷いた。
『ああ。酒はやれんが、まぁ最高さ』

俺たちのシェビーが地下車庫から出るのを、誰も止めない。
親指を立てて見送るだけだった。

「市場通り辺りで暴徒が暴れているらしい。あとは散漫に各地で
銃撃戦が。州軍の装甲車も何台か攻撃されているらしい」
『一人二人、煽動している奴がいればたやすく暴徒になる。州軍は
発砲したのか?』

パッチョが割り込んだ。
「今はまだゴムスラッグや催涙弾で鎮圧しようとしてる。何人かSMGを
持ってた奴は僕が片付けといたけどね」

口笛を吹きつつ俺を見るハンクス。眉を上げて答える。
スコーピオンか。渋いな」
ハンクスは概ね理解したらしい。奴はまったく偏見もなく事実を認識し判断する。
「旦那のそれもおもしろいね?」
『まぁな。昔買ったものだが引っ張り出してきた。弾数は多いほうがいい』
スタイヤーか。SPPなのにフルオートに違法改造したものだな」

ハンクスは予備のマガジンを3本。多少はいじったようだが、多くは持たない。
それが奴の絶大な自信の現われだった。

「今回は何人キルスコアが伸びるかね」
『・・・殺した数は興味ない。贖罪もする気はない。ただ、それで明日泣く子がいない
ならそれでいい。誰かがやらなきゃならんなら、俺がやる』
「手伝うよ旦那」

ラジオは緊急特番で警報を流したままだ。今はまだ暴徒化した国民の騒動、という
見解らしい。
俺は煙草に火をつけると、ハンドルを切った。

各場所で黒煙が上がり、店舗を襲う奴等が溢れている。
襲って生活を充実させた後、教会で懺悔し罪はリセットされる。
見た目がポンコツなシェビーに乗った俺たちはコップにゃ見えない。
彼らは意にも介さず、略奪という名のカーニバルを楽しんでいた。

この辺りは前哨戦だ。まだ煽動している影はない。
炎を上げるメルセデスの匂い。45オートの発砲音。シャッガンの音。
頭にきた店主がポリスにTELするよりその方が早いと判断した結果だろう。
賢明な決断だ。俺はハンクスと苦笑いをかわす。

おいたした奴等は残らず平らげる。本部長はやるといったらやる。
心配しなくていい。ヤサは外注で増やしてある。

俺たちは、頭を潰す。
エサは俺だ。このシェビーを乗り回すのは、俺がこれに乗っているのが
俺だと情報が駆け巡っている上でだ。

「旦那。この先はまばいよ。チャイナタウンに入ったほうがいい。あそこは安全」
後部座席でスコーピオンを握るパッチョが囁く。
だが俺は8番街にハンドルを巡らす。パッチョは肩を竦めたきりだった。

放火による炎が立ち上る。
消火活動は今は行われていない。暴徒に襲われる危険があるからだ。
賢明な人たちはもうこの街でワークしようとは、思っていない。

「そろそろか?」
『ああ。気配が濃くなってきたな』

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「本部、イーグルワン確認。狙撃ポジションに移ります」
「本部了解。州兵は抑える。市警を殺せ」
「了解」

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州兵のヘリがRPGにより堕とされ、州軍の装甲車がひっくり返されたところで
上層部はこの暴動がただ事ではない事に気付いたらしい。
もう遅い。この街の支配者は誰か。それを教えるのは俺たちだ。
混乱は混沌へ。俺たちは8番街へと車を入れた。

「ビルの上」
バンッ

パッチョが言うが早いかハンクスがM9を撃った。いいマジシャンになれる。
ライフルの射程を凌駕するのはテクニック。
ウォーモンガーは俺たちを見つけたらしい。
俺たちは混沌の中を走り出した。一拍おいて動き出す「暴徒」。
餌に食いついた奴等だ。

SMGを腰だめに追尾する奴等を引き寄せつつ、街路を走る。
ハンクスにパッチョ。イージーゲームだ。負ける要素がなかった。
暴徒の中にも俺たちに気付き銃を向けたり、手持ちの凶器を振りかざす者がいた。

バンッバンッバンッ

ハンクスのM9。俺のP99。俺たちは躊躇しない。
逮捕して更正させれば、或いは10年後。人を助ける事もあるかも知れない。

かも知れない。それに自分の命を的に警告する気は、俺たちにはなかった。
運のない出会いだった。お互いついてなかったって事さ。

追撃者はパッチョのスコーピオンがセミで2人打ち倒していた。
残りは車の陰や路地に逃れている。
(とっかえひっかえ撃ちまくりw)

『9番街まで抜けるぞ』
逃げ散る暴徒を尻目に走り出す。もう抵抗する気はなかろう。
俺たちはコップには見えないが、危険な存在と認知されていた。
バッチは持っているが、見せる気はなかった。

影からSMGが弾幕をかけてくるが、当たりはしない。
俺もハンクスも無駄弾をそちらに撃つこともなく歩を進めた。
ジェニファーからはまだ連絡はない。

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「イーグルワンを抑えきれないっ増援を」
「市警が動き出していて、増援は送れない」

「フヒィヒィー。地獄の悪鬼もコマセル奴等がヤラレてるのかぁ」
「サー。州軍はともかく彼らはもう異常です

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「イーグルワン。2時の方向にSMG。ターゲットよ」
バンッババンッ

「ハンクス。9時に・・・」
パンッ

パッチョの俺たちを見る目は完全に変わっていた。
ジェニファーの索敵に反応。
無駄を一切排除してきりつめた動き。組織化された暴徒も、影で手を引く
煽動者もなりを潜めていく。
(気持ちよく撃ちまくりw)

「よぉーうっアメリカンジャスティス」
ヨシュアが現れた。暴徒を何人か連行する市警も一緒だ。
どうやら、突貫し合流できたらしい。

「今はどの辺りが賑わってるんだ?」
マグを替えながらハンクス。煙草に火をつける
「もうほとんど抵抗らしい事はないな。チャイナタウン以外は封鎖したしな」

チャイナタウンは、張大人の影響下で今回の暴動は及んでいなかった。

同じく煙草に火をつけ、肺に入れる。
爆音が遠くに響く見慣れたテリトリー。
放火された車が爆発したらしい。
銃声はもうやんでいた。

「頭の位置は?」
肩をすくめるヨシュア。
逃げおおせたらしい。

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「楽しいなぁ。最高に楽しいなぁぁぁ」
「20%の損耗を確認。撤退します」
「イーグルワン。相棒も調べ上げろぉ?」

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州議会の決定で軍が更に動員されたらしい。
焼け付いたUSPCP99。バレルはもう交換しなきゃいかんだろう。
市警の車両が続々と赤色灯を輝かせながら、通りを走る。
州軍の装甲車から、州兵が降車し兵が路地を進んでいく。

終わった?今回はまぁそれでいい。
だが、始まりともいえる。俺が、ブレッドを入れたかった相手はもう州を出た頃か。
また来いよ?次で終わりだ。楽しみにしてる。

 Photo

  Eagle-OneのSteyr


 Photo   Eagle-OneのP99

 Photo   Eagle-OneのUSPC

 Photo   パッチョのスコーピオンCz61

 Photo   パッチョの年代物の手榴弾

 Photo   ハンクスのM92F

 Photo   ハンクスのM92Fその2

 Photo   ジェニファーのM92FS

 Photo   ヨシュアのSW1911

 Photo   ヨシュアのSW1911

 Photo   店主が発砲したショットガン

 Photo   ハンクスの喫煙具

 Photo   Eagle-OneのProp