Eagle-One's story 04 "The outside of bird cage"

【あらすじ】
新居をRPGで破壊され、安全の為署内で籠の鳥となるイーグルワン。しかし彼は自身で決着を付けるべく防弾仕様のシェビーで街に出る。そんなイーグルワンをダディこと本部長は...




レイ・チャールズの曲がラジオから流れている。
市警ってのは昼も夜もない。寄る辺なき俺が身を寄せた場は、
喧騒がひどかった。寝た気がしない。

「よぅーっキルスコアを昨日も稼いだんだってな?トリガーハッピー」
『・・・』

ヨシュアだ。2mを越す筋肉だるま。獰猛な獣のような笑顔だが、
敬虔なクリスチャンだ。
彼は落ち込んでいる人間、困っている人間を決して見捨てない。
今は俺らしい。彼のからかいの軽口は、ほんの挨拶に過ぎない。

「家はおろか家財も吹っ飛んだって?12人きっちり天国に送ったんだな?
エイメン。お前に神の慈悲があらん事を」
『ありがとうヨシュア。朝飯だ、付き合え』

本部長は部屋のブラインドゥを下ろしたままだ。俺への優遇も今日は
ソールド・アウトらしい。
昨日の晩はまったく生きた心地がしなかった。
統率のとれた動き。生半可なチンピラじゃなかった。
一人二人撃てば、戦意を失い逃げ切ると高をくくっていた。

とんでもない。まったくこうして歩いているのが不思議なくらいだ。

「まぁやれよ」
『どうも』

泥水のようなコーヒー、市警名物のくそったれを啜りながら歩く。

ヨシュアの目線は周囲を絶えず流れる。俺にも。労わりか?
クリスチャンでなければいいシューターになれたろう。
憐憫と慈悲は、自分の体に風穴を作る隙を生むだけだ。

彼はもう21発の不意打ちを体に刻んでいた。俺には真似できない。

「イーグルワン?お前今度は何やらかした?これはやばいぞ。かなりな」
『知らんよ。ただ、とんでもないワルが動いてるらしいとしかな』
「・・・ワイズマン?」
『ああ』

ドッグと朝刊は市警を出た売店で買う。ヨシュアは俺に指を振り、ニヤッと
笑って(猛獣が牙をむいたようにしか、見えなかった)買いに行ってくれた。

俺は今やレディだ。表に出ることも叶わぬ篭の鳥。
キンタマをナッツのように割られる前に、なんとかしなきゃならんらしい。

キャサリンに泣きつくか。かなり恰幅のいいマダムだが、調査に関する資材は
彼女が一手に仕切っている。
レンタカーのキャデラックまで吹き飛ばされちゃたまらない。

ヨシュアが無駄に大買いしたホットドッグを前に、俺は一考した。

キャサリンが微笑めば、優しくすればそいつは終わり。
無愛なキャサリンは、滅多なことでは微笑まない。労わらない。

「・・・これを使うといいわ。21番ゲージ。気をつけて」

俺はもう終わりらしい。キャサリンが「気をつけて」

21番ゲージにはロートルなシェビーが1台。
キャサリンは俺が嫌いらしい。まぁ、好かれたいとも思わないが。

あの手際。情報統括の手際の良さ。俺はいつまでも寝ぼけている訳には
いかんな。ハンクスがいれば・・・

本部長はそれを知って、俺との面会を謝絶している。
今の俺には数人の気配がまとわりついている。
ありがたい事だ。俺は仲間にもマークされ、警護されているらしい。

お姫様でいるわけにはいかないだろう。
なにやら、ジャパニーズが銃を振り回して逃げ回っているとの話も小耳に挟んだ。
まったく不穏な世の中だ。日本人はみんな大人しくて無害だと思ってた。

シェビーの扉は、20mmの鉄板が挟み込んであった。重い。

俺の勘が正しければ、いや十中八九俺の首には賞金がかかってる。
昨日の奴らは、地下に潜るだろう。これからは清掃だ。
思い当たる節は多すぎる。やるべき事?エサは街を流せばいい。
このイカれたシェビーで。

シェビーに乗り込もうとした俺の前に、本部長が現れた。
泥水を溜めた紙コップを片手に、しかめっ面だ。
黙ってアゴをしゃくる。ついて来い。誰もがげんなりし、恐れ入る仕草だった。

付いていった先は、地下のシューティング・レンジだった。
本部長はショットガンを手にしレンジに向かう。

ショットガンダディー。本部長の徒名だ。
M1100レイル付を扱わせれば、相当の腕だった。かつてのシューター。
大先輩だった。キルスコアでは、俺もハンクスも遠く及ばない。

俺がアゴで促された先にも、M1100があった。ダットサイトにライトがレイルに
付けられている。この前破棄したショットガンの代わりだろうか?

ドゴンッドゴンッ

腹に響く轟音。ブローバックで排莢されるシェルが空を舞う。
本部長は何も語らない。ただ、理想的な姿勢でターゲットをボロ切れにする。

俺も構え、ターゲットに向け引き金を引いた(座ってショッドガンをプロターゲットに撃つ)
不器用なダディの、心遣い。
下心も何も感じない、無骨すぎる優しさが今の俺には嬉しかった。

生きて帰れ。その術は盗み取れ。
神業に近い装填、ショットガン回し。俺はすべてを盗み見た。

 


 Photo   ヨシュアのSW1911

 Photo   ヨシュアのSW1911

 Photo   Eagle-One用のシェビー

 Photo   Eagle-One用のシェビーその2

 Photo   Eagle-OneのM1100