Eagle-One's story 02 "Revenge of Yanagi"

【あらすじ】
過去の捜査でイーグルワンに辛酸を舐めさせられた"ヤナギ"とその部下達がイーグルワンに復讐を挑む。ジェニファーの支援の下、イーグルワンはヤナギらとの壮絶な銃撃戦に臨む。




週末は一人家で過ごすのが俺の日課だ。
忙しい日々の憂さは、週末にテイクオフする。
今週だけは少し違ったようだが。

俺は、情報屋「ワイズマン」にアポを取った。
正体は不明だ。知りたくもない。知ろうとも思わない。
ワイズマンはすべてを知り、その対価に相応しい報酬を求める。

とある銃の出所なら、1000ドル。
ワイズマンの正体は、それを知りたい者の命が対価だ。
まだこの世で労働したいなら、それを知ろうとは思わぬこと事だ。
じゃなきゃ就労ビザは没収され、天国に強制送還となる。

「アロー」
『俺の車が週末木っ端微塵に吹き飛んだ。誰の仕業かね?』
「イーグルワン。気の毒だったわね。ヤナギが動いてるわ。蛇にキス
されたわよ」
『ありがとうワイズマン。振り込むのはいくら?』
「1000。いつもの口座に」

ヤナギ。俺が潜入捜査し、情報操作の甲斐もあって無血、無発砲で
壊滅させた組織の用心棒だった男。
奴は偽情報に踊らされ、小粋なツイストを踊っているだけのピエロを演じた。
誰も奴をもう雇わない。なるほど、報復先が俺か。ついてない。

俺を狙うのはいささか筋違いだ。
ローンも半ばの日本車だった。故障もしないいい車だった。
プルルル・・・
携帯がなる。仕事用だ・・・中尉?懐かしい相手だった。

『アロー』
「イーグルワン。今すぐキャンプに来い。今回は撤収しろ、これは
命令だイーグルワン。ヤナギは忘れろ。三日で終わらせる。
復唱しろイーグルワン」
『中尉。お言葉ですが、こいつは俺の尻に刺さった棘だ。さくっと
抜いて始末書は3枚で済ませますよ。お気遣いは感謝します。今度また
一杯やりましょう』

長くなりそうな携帯は切って電源も止めた。もう中尉は俺を部下にマーク
させているだろう。復員させてしごき倒したくて、仕方ないらしい。
中尉の背中を、技を俺は憧れの眼差しで追った。そして認められるまでに
はなれた。だが、なんの因果か今はポリス。
そして、古い友人が俺に用があるらしい。
愛車を吹き飛ばしてくれた礼もしなきゃならん。本部長にも話はしておこう。
まったくついてない。今日の星占いはぼちぼちだったのだが。

俺はレンタカーを手配し、西の海岸を目指した。
俺の考えが正しければ、今はまだヤナギの掌で踊っているのは俺だ。
今はまだ。ヤナギが悔い改めて、天に召される心の準備をする時間は
俺がこうしている間、与えている。俺は優しいんだ。

もう2年も前になる。キャデラックを走らせる俺は
追想した。ハンクスと共に、かの組織を摘発した日の事を。
ジェニファーが流した情報により、ヤナギを頭とする実働隊は
遠くに出張っていた。
わずかなボティガードは、諸手を挙げて俺たちに歓迎の意を表したものだ。
俺は、本当は銃を撃つのも撃たれるのもごめんだ。
平穏に日々を送っていたい。「安心できる日とは、何事もなく過ぎた昨日だけ」
リードマン中尉の言葉が頭をよぎる。

目指す倉庫、2年前の陰影に向け俺は車を走らせていた。
ヤナギ。罠を張っているのだろう。だが、俺は正直者だがバカじゃないぜ?
今回も熱いツイストを踊るのはお前さ。

ジェニファーからメールの返信が届いた。
「5分ででます。もう金輪際勘弁してよイーグルワン。デートが台無し」

高くついた。とてつもなく。まったくついてない。
ギアをトップに叩き込むと俺はまた携帯からメールを発信した。

埠頭の倉庫街。灯りも落ち、静寂が辺りを包んでいる。
あの日もこんな感じだった。
外れに車を止め、ショルダー、ヒップにレッグホルスターの
それぞれの銃を確認する。

人が多いな。いろんな動きがあるようだ。ヤナギの手下。
俺の仲間。俺を見張る者・・・
うなじがチリチリする。一筋縄ではいかないって事だ。
俺は自分の勘を当てにする。それが生き残るコツだったから。

キャデラックを降り、両手にUSPCP99をホールドする。
腰を落とし、あの日、あの場所を目指す。
ケリをつけるために。古い友に会うために。

狙撃ポジションに数人を確認した。
倉庫の影に、素人が立っていた。

双方が俺を狙っている。リードマン中尉、どうなってんです?
これはおかしい。ヤナギの罠だけじゃない。

リードマン中尉の手のものは、包囲網を形成しつつある。
ヤナギの手下は・・・素人だ。問題にもならなかった。
手はず通りなら、無視していい存在だが、さて。

目的である倉庫の前、漏れる灯り。人の猛る雰囲気。殺気が丸解りだった。
ビンゴ。ヤナギはここで俺を待っていたのだ。
だが、ちっとばかり不穏だ。本来なら、ここは引くべき場だったろう。
リードマン中尉の命令は、常に正しかった。今回も。

倉庫街の外れ、俺がいる場から反対の方向から激しいホイルスピン音、
そして散漫な銃声が轟く。ヨシュアの陽動が始まったのだ。
そちらを警護していたチンピラは釘付けだろう。倉庫からも数人が走り出した。

だがいかにもチンピラだけが動いているだけだ。
ヤナギはグズだが、底抜けのバカじゃない。あえて乗っている素振りをしているだけだろう。

そして俺に迫る黒い影、真に恐れるべき第三者は冷徹に俺を囲い込んでいた。
おかしい。ヤナギが、中尉の組織に食い込めるはずがない。
組織の人間が、動くはずがない。

とりあえず俺は、約束の場に急いだ。段取り通りなら、そこに俺の獲物がある。
倉庫街のゴミ集積場にそれはあった。M1100ショットガン
油紙に包まれ、無造作に置かれていたそれを、俺は手に取る。

シェルは十分だ。ホルスターに銃を戻すと、俺は倉庫に向かった。

「イーグルワン。勝ち目があると思う?」
イヤホンからジェニファーの声。配置に付いた様だ。
『さぁな。どっちに賭ける?』
「オーケイ。始めてちょうだい」

管理事務所に忍び込んだジェニファーが倉庫の明かりを落とす。
俺はM1100を腰だめに走り出した。

入り口に向け一発(プロターゲットにヒット)。湧き上がる悲鳴。
構わず開いた扉の中に二発撃ちこみつつ走りこむ。

倉庫の中は、倒れた数人の気配を漂わせるのみ。
罠か、まぁここまでは掌で踊っていたのは俺だという事だ。
シェルを装填しつつ、倉庫の入り口から外の気配を伺う。
(シェル5発購入し、付属とあわせて8発ある)

囲まれている。ヤナギの手下と・・・黒い影。

「はっはぁーっ決着をつけようぜイーグルワンッ」
ヤナギの声が響く。
『ようっグリーンカードの取得はできたのかヤナギッ失業中だろうっ?』
「・・・親もわからねぇ肉塊にしてやるぜイーグルワン」

赤い点が俺の周りを威嚇するかのようにひらめく。
レーザーポイントだ。

このポイントは、黒い影たちが俺をポイントしているのだろう。
すぐには撃たない。その気なら、もうとっくに俺は天国への階段を
踏みしめているはずだ。

走り出しザコにM1100を撃ち放つ(3時、2時と連射。缶にヒットするが跳弾も返る)
俺を追い、火線が闇を切り裂く。俺の得意な状況になった。
後はダックハントで十分だった。

影に潜む者が居なければ。

M1100を狙い、ライフル弾がヒットした。この暗闇、走る俺(脳内)の
動きを的確に抑え銃のみを撃つ。
暴発を恐れ投げ捨て(そっと床に置くw)両手に抜き放った銃で応戦する。
ついてない。ジェニファー、ヨシュアには援護を中止させた。
彼らでは太刀打ちできまい。翌日、埠頭に浮かぶ死体を増やす事もない。

「はっはっはぁーっどうしたイーグルワンッ!?俺はここだぞ・・おおっ」

声の方向に撃ちこむ。頭を狙うのはまだ無理だが、それなりに喰らわせたらしい。

足場を封じるようにライフル弾が地面をえぐる。
俺の動きを封じ、ヤナギの手柄として、始末したいらしい。膝を打ち抜かないのは、
証拠を残したくないからだ。明日のフィッシュ&チップスを賭けてもいい。

サブマシンガンの火線が縦横に闇を切り裂く。
足元を跳弾がはじき上げ、動きを封じ耳元を高音の熱源が通り過ぎる。
やばいな。正直うまくない。平坦なアスファルトの倉庫街は俺にとっては
ひどいブッシュのような有様だった。

P99がスライドストップした。利き腕に頼る癖が抜けてない。
苦笑しつつ銃を捨てる(そっと置く)。
カシカシカシッ

ジェニファーの援護が始まった。サイレンサーの音が背後から聞こえてくる。
逃げろといったのだが。
黒い影は彼女、イレギュラーには躊躇しない。捜査官の失踪。
三面記事にも載らないささやかな出来事だろう。
俺はジェニファーの元に走った。背中を見せるのは趣味じゃない。
だが俺が火線をふさがなければ、ジェニファーの額に死神がキスをする。

時間にして2秒。すまないジェニファー、間に合わなかった。

だが、然るべき一撃は訪れず俺はジェニファーのカバーに成功した。
「何やってるのイーグルワンッ」
『いいから背後にいてくれジェニファー。そのままっシーッ』

静寂が辺りを包んでいる。黒い影は、その濃さを増している。
だが、俺を刺す様な殺気は成りを潜めつつあった。静かに、闇の中で
何かが行われていた。

「くっくそったれっっ」

ヤナギの動揺が手に取るように伝わる悲鳴。
今回も道化はお前だったというわけだ。

「イーグルワン。何もなかった、何も見なかった。
復唱しろイーグルワンッ」
『サーイエッサー』

闇はすべて気配を消した。ヤナギの手下も沈黙し、思い当たる気配は
ただ一つだった。

『決着をつけようぜヤナギ?』
「くっくそったれっ」

9mmの弾が闇を切り裂き飛来する。横っ飛びで(脳内)残るUSPCを射撃する。
距離にして8m。残弾はなし。俺はUSPCを捨てた。

「くくっ愛してるぜイーグルワンッ一緒に地獄に落ちようぜぇっ」
『気付いてた。だがそいつは勘弁だな』

M92Fが弾丸を放つ。俺はしゃがみ込み、ヤナギに向け腕を突き上げた。
死神が、俺の手の中でため息をついた。
デリンジャーの放った弾丸はヤナギの額を打ち抜き、地獄への片道切符にハサミを入れた。

「二度と同じ真似は許さんぞっ」
本部長はスチームポッドのようにカンカンだった。

『肝に銘じます』
「今日の占いは最悪だった。お前はぼちぼちだったがな」
本部長は苦虫を噛み潰した顔で言うと、もう行けと手をふった。

あとは用なしだ。現場は見識が精査し、査問委員会には書面が回る。
俺がしたためた始末書3枚。

リードマン中尉の隊は、粛清が進んだらしい。とある組織に関わっていた
メンバーが、証拠隠滅に動いたためだそうだ。

ヤナギの件も、粛清も明日の朝刊にも夕刊にも載ることはない。
スキャンダルは他を当たってくれ。俺は平穏な日々が欲しいんだ。
とりあえずジェニファーとヨシュアにモーニングを奢るとしよう。

 Photo   Eagle-OneのP99

 Photo   Eagle-OneのUSPC

 Photo   Eagle-OneのM1100

 Photo  Eagle-Oneのデリンジャー

 Photo   ヨシュアのSW1911

 Photo   ヨシュアのSW1911

 Photo  ジェニファーのM92FS

 Photo   ヤナギのM92F