Dyson's story 06 "Counter Attack" Update!

【前回までのあらすじ】
銀行強盗に使用された強力な銃器の密売容疑を掛けられた元傭兵の掃除屋(スイーパー)ダイソン。
彼の潔白を晴らし銃器密売の犯人の情報を得る為、伝説の情報屋ワイズマンの紹介で情報屋DJの隠れ家を訪れたダイソンとビル捜査官。
DJの隠れ家を後にし、ダイソンと別れたビル捜査官を予想外の危機が襲った。
瀕死の重傷を負ったビル捜査官を搬送するリードマン中尉の部隊。果たして彼は助かるのだろうか?




ビルが襲撃を受けてから数日後。ダイソンの店にDJが現れた。

「まさかこんな状況なのに、普通に店にいるとはネ」
入り口近くの柱に体を預けてDJが言う。

『…こんな状況だからだ。それに今までこの店に手を出して生きていた奴はいない』
対するダイソンは無表情。ショーケース横のカウンターで空のコーヒーカップから視線をはずさない。

「Oh〜♪ 恐いネ〜」
おどけたDJの表情が元に戻り、暫しの沈黙。

「ビルがやられたヨ」

『…そうか』

「ボクらは荒事に慣れてるけど、彼は比較的“表”のヒトだったからネ…」

『関係ないな。今回の件は元々奴が撒いた種だ。自業自得。それ以外の何物でもない』
カウンターの椅子を離れ、飲み終わったコーヒーカップを下げに行く。
DJが訪れてからずっと、ダイソンの表情は変わっていない。

『悪いな。今日は店じまいだ』

「オヤ? 随分と早いんじゃない?」

『元々出かける予定だった』
ダイソンはカウンターの中に用意してあった大きなバッグを持ち、ドアへ向かう。

「ロックポート」
言葉に反応し、ダイソンが立ち止まる。初めて2人の視線が交わる。

「今回ボクたちに襲撃を仕掛けた連中のアジトはそこにある。だけど、まだ上がいる。そこまでは掴めてナイ」

『…』

ダイソンはDJの真意を測るようにサングラスの奥に視線を合わせる。対するDJは口元に笑みを浮かべてその視線を受け止めた。


店の建物を出て、セキュリティをかける。
ガレージに向かうと、DJが愛車の窓の中を興味津々といった感じで覗き込んでいた。

『…何をしている』

「歩いて来たからサ。送ってもらおうと思って」

《ピピッ…ガチャッ》キーレスのハザードが灯る。

「参考までに教えるケド、今までボクのセーフハウスに手を出して生きていた奴もいないんダヨ」

『…勝手にしろ』


−さてさて。この機会に『血濡れの鷹』の実力を見せてもらうヨ。

−やられっぱなし、ってのは一番柄じゃない。俺も、あいつもな。

それぞれの思いを旨に、車はロックポートへ向けて走り出した。

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「全滅だと…!?」

高層オフィスビルの会議室で男は唸った。

「はい。部隊を指揮していたナンバー“\”以下、全員の死体を処理しました」

「相手はたかだか捜査官一人だろうが!」

「はい。加えて同時に行動を起こしたナンバー“X”と“Y”がロスト、
ナンバー“Z”も死亡が確認されました」

「“X”と“Y”はホークアイ、“Z”は情報屋だったか?」

「はい。残された現場の痕跡から、恐らくそのどちらかが途中から援護を
したものと思われます」

中堅貿易会社の社長として日々駆けずり回る中で、取引先の担当から
サイドビジネスの仲介を受けたのが半年前。
それから総資産額は10倍以上に膨れ上がった。
今更後に引く気は無いが、武器と薬物の密輸に手を出したい以上このような
状況は面白くない。

「…今の所ここに繋がる痕跡は一切残していないんだ。奴らの動きを
探りながら暫く様子を見る」

「はい。しかし、相手はどうもそこまで待てないようです」

「何だと?」

《ガシャァァァァァン!!!!》

ロックタウン中央部に位置するスミス貿易本社ビル。
ランチタイム前のロビーは瞬時に阿鼻叫喚の渦と化した。

まず、いきなりハイビーム全開にクラクションを鳴らしながら黒のBMWがロビーに突っ込んできた。
その数秒後、サブマシンガンで武装した黒装束の一団が警告もなく車に向けて集中砲火を浴びせる。

「どうやら歓迎されてるみたいだネ」
『そのようだな』

10秒ほどで一度銃撃が止む。…車は無傷だった。集団は慌てて次のマガジンを用意し…

「遅いヨ」
『遅いな』

準備を待たずに運転席と助手席のウインドウが下がり、無慈悲な反撃の
狼煙が上がる。

《ダダダンッ!! ダダダンッ!!》
《ドンッ!! ドンッ!! ドンッ!!》

一階フロアの標的をDJのG36Cが、二階フロアの標的をダイソンのライフルが次々と正確に捕らえていく。
そのまま車はスピンターンを始め、二人を取り囲む集団を次々と葬る。

30秒後、訪れた静寂に頭を抱え必死にテーブルに隠れていた女性社員が目を上げると、ドレットヘアの若い黒人男性と目が合った。

「お嬢サン、ステキなランチを♪」
ウインクと共にチョコバーが飛んできた。思わず受け取ってしまう。

『チッ…! 何してんだとっとと降りろ!バーベキューになるぞ!!』

「ん?」

フロントガラスを振り返ったDJの目にこちらを狙う複数の影が映る。

「RPGッ!!」

《ヒュンッ…ドゴォォォォォン!!》

女性社員はそこで気絶した。

エンジンルームに直撃を受けて、防弾仕様のBMWは爆炎を上げながら跳ね上がった。
間一髪逃れた二人はそれぞれサイドアームを抜き放ち、応戦する。

《ダンッ! ダンッ! ダンッ!》
《ダダンッ! ダダンッ! ダダンッ!》

「ぐわっ…」
再び静寂が訪れる。

『さて、この場合往々にして親玉は最上階と相場は決まっているが…』
「異議ナシ。サッサと行こうヨ」

二人の視線の先にはエレベーターがあった。
《チーン》

扉が開き切る前から雨のような銃弾がエレベーターを襲う。

《ガガガガガガガガガガ…ッ!!》
《ダンッ!ダンッ!ダンッ!》
《ズダダンッ!ズダダンッ!ズダダンッ!》

蟻の子一匹も撃ち漏らさないほどの銃弾が止むと、そこにはボロボロになった死体が2つ。

一人が駆け寄り確認をする。

「…っ!違います!これはウチの警備ですッ!!」

最上階のエグゼクティブルームには屋上のヘリポート以外ではエレベーターでしか来ることはできない。
全員が警戒を解かずにエレベーターを睨んだまま動かない。彼等はエレベーター正面の大きな窓を背にしており、これで死角は無いはずだった。

しばらくそのままの時間が続く。…と、一人がふいに転んだ。

こんな状況で不謹慎だと注意しようとした男は、床に倒れた男が頭から血を流しているのを見て…
…そこまでで記憶は途絶えた。

《2人目。…3人目。4人目》

ようやく誰かがロビーの馬鹿でかいガラス窓に4つの弾痕が残っているのを見つけたが、
…5つ目を見ることができたかどうかもわからずに息絶えた。

《6人目。…7人目。8人目》

向かいのビルの屋上で、まるで感情のない無機質な機械のように、ダイソンは同じ動作を繰り返していた。

《ジャコンッ!!》

ただひたすらに弾を込め、装填し、打つ。

《…22人目。…23人目。24人目》

パニック状態になったエレベーター前は2分ほどで静かになった。

《ガコン………ガコン………》

倒れた男が挟まり、扉は開閉を繰り返している。
…と、エレベーターの天井にある扉が静かに開き、逆さまになったドレットヘアが辺りを見回す。

《全員即死…腕は錆びてないみたいだネ》

DJは向かいのビルを見るが、恐らくダイソンは既にそこにはいないだろう。

《今度はボクの番だネ》

《ガチャ…》

扉を開けると正面には豪華な応接セット。
その向こうにはアンティーク調の大きな机。
そこに収まる顔色の悪い中年男性。恐らくヤツがここのボスだろう。

「ソノ節はドウモ。…顔色が悪いケド、鉄分が足りてないんじゃナイ?」

ゆっくりと部屋に踏み込む。同時に銃口が上がり…、

《ダダダンッ!!》

《…ズダダダダダダダダダダッ!!!》

DJは窓にかかるカーテンに向かって3点バースト。
同時にその倍以上の弾丸がDJを襲う。

《…ズダダダダダダダダダダッ!!!》

飛びのいた先をさらに火線が舐める。

《ダダダンッ!!》

銃口の先は見ずに撃ち返し、すぐさま身体をひねって火線から逃れる。
弾は正確に先程と同じカーテンへ。

皮肉にも高価なデスクが唯一のバリケードとなり、転がり込んだDJはようやく呼吸をする間を与えられる。

「…やるネ」

「貴方も」

DJは声がすぐ近くから聞こえた事に驚き…

《ダダダンッ!!》
《…ズダダダダダダダダダダッ!!!》

至近距離で火線が交差する。
机の上には幼い少女が仁王立ちになっていた。
フリルをふんだんに使ったワンピースがこの場にそぐわない。
その手にはDJと同系の銃。しかしマガジンはドラムタイプが装填されていた。

DJの弾は正確に少女の胸にめり込む。…が、そこで止まった。

一瞬その信じられない光景に目を疑うが、DJは左足を襲った激痛に抗うと、銃を手放し両手で床を跳ね上げる。

その床もコンマ数秒の差で蜂の巣になる。その様を見てサングラスの奥の目が…笑った。

右足に重心をかけながら着地。そのまま角度を変えて前方へ逆立ちをするように身体を投げ出す。
今度は両手を交差させる。その刹那、風が唸った。

「…なっ!?」

少女の手にあった銃は、全身を捻りながら繰り出されたDJの右足によって弾き飛ばされていた。

「きゃッ…!!」

さらに続けてもう一撃、今度は踵で蹴りが繰り出される。
両手で身体を支えたまま、DJは独楽のように回りながら蹴りを浴びせる。

少女は両手で防ごうとするが、体重の軽さが仇となり上手く受け流せない。
もう一度勢いを付けて放った一撃で、少女の身体は壁に叩き付けられた。

「ゲームセット。僕の勝ちだネ」

その隙に男のこめかみにグロックを突き付け、DJが言う。

「…私たちの負けだ!金なら出す!頼むから殺さないでくれ!」

この場に至って初めて男が口を開いた。

「…ハァァァ?何言っちゃってんのアンタ?お互い覚悟の上でしょ?」

DJの表情から「笑い」が消える。

「…その男を離しなさい」

立ち上がった少女はナイフを構えてDJを見つめる。

「……」「……」

その目に死を全く恐れている様子はない。

《ダンッ!!》

「あぁ…あぁぁ…」

崩れ落ちたのは少女だった。
男は情けない声をあげてただ震えている。

「前の子も降伏はおろか、説得に応じようともしなかったヨ」

強固なボディーアーマーを避け、少女の眉間を撃ち抜いたグロックから静かに硝煙が上がる。

「ヒィィィィッ!! ギャッ!!」

腰を抜かし、DJの背後から逃げ出そうとした男が右足を抱え倒れる。

《タァァァンッ!!》《タァァァンッ!!》

それでもまだ逃げようとする男の肩、左足と、次々鉛の弾が襲う。

鏡越しにその姿を見ながらDJはポケットからチョコレート・バーを
取り出す。

「た…たす…助けてくれェ!!」

「…『彼』はこういうのが許せないみたいだからネ。無理だヨ」

男はそのまま泡を吹いて失神した。

「大丈夫。殺すのは聞きたい事を全部聞いてからだからネ」

そう言いながらDJは窓の外、遥か先の相棒に腕を掲げて応える。

「まだまだ死ねないョ、キミ」

部屋にはチョコバーをかじる音だけが聞こえていた。

補足---------------------------------------------
超能力…ってのは、弾が胸で止まるってヤツですね?
あれは服の下にケブラー的な驚異の新素材で作られた、
最新・トンデモ・ボディー・アーマー(STBA…?)
を来ていたから…で、許してください…m(_ _)m

もともと防弾装備を着ている脳内設定でしたがその描写を
書き漏らしていて、DJが撃つ際に申し訳程度に書き加えました。

少女は反射神経、筋力、五感などがバナナで強化されており、
MG36を振り回していた、というイメージです。
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 Photo   ダイソンのスナイパーライフル

 Photo   ダイソンのUSPとGlock18

 Photo   ダイソンの護身用デリンジャー

 Photo  ダイソンのM1100

 Photo  ビルのミニガバメント

 Photo   ビルのM19

 Photo  DJのG36C

 Photo  ビルのマスタング

 Photo  ビルのマスタング