Dyson's story 05 "Detective Bill" 

【前回までのあらすじ】
銀行強盗に使用された強力な銃器の密売容疑を掛けられた元傭兵の掃除屋(スイーパー)ダイソン。
彼の潔白を晴らし銃器密売の犯人の情報を得る為、伝説の情報屋ワイズマンの紹介で情報屋DJの隠れ家を訪れたダイソンとビル捜査官。
DJの隠れ家を後にし、ダイソンと別れたビル捜査官を予想外の危機が襲う。




ダイソンと別れたあと、そのまま市警に向かう予定でいた。

しかしどうも断り切れないデートの誘いが入ったらしい。
2度ほど巻こうとしたが、ビルの背後の気配が消えることはなかった。

《こういうのは余り気が進まないねぇ…》

しかしこういった連中の《処理》を先延ばしにして良いことがないことは経験上承知していた。出る杭はその場で叩く。完膚無きまでに。

たどり着いたのは街の外れの閉鎖された廃ビル。日も暮れかかり、辺りでは街灯がちらほらとつき始めた。

そのまま足を進めてビルに入る。ホルスターから銃を抜き、弾を確認。
予備の弾薬を合わせて30発。決して多くはない。

身を潜め敵を待つ。

「野郎、何処へ行きやがった!」

入ってきたのは予想に反して尾行のレベルとはかけ離れた雑魚。

《まずは様子見って訳か…》

人数は…4人。

「いたぞッ!」

《しまった!逆かっ!》

振り向きざまに2発。

《ダンッ!ダンッ!》

崩れ落ちる影を横目に見つつ、正面から入ってきた連中に銃口を向ける。

「おいっ!こっちだ…グッ!!」

《ダン!ダンッ! ダンッ!ダンッ!》

即座にスイングアウト。空になった薬莢が甲高い音を立てて床に散らばる。

次弾を装填…シリンダーが納まると同時に次の標的が角から飛び出す。

《ダンッ!》
《バンッ!》

同時に銃声が鳴り響く。

《…ッ!!》

左肩が焼けるように熱い。命の滴がトマトジュースのようにポタポタと
零れ落ちて行く。

代償として相手の呼吸は止めたようだが、この状況では全く割に合わない。

《おいおい。なんかこれって…まずいんじゃないの?》

その場を離れる。建物の奥へ。

自分が追い込まれつつある事を自覚しながら、ビルは走り続けた。

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「…はぁ…はぁ…、くッ」

撃たれてからどれだけの時間が経っただろうか。出血は未だ止まらない。
応急手当もままならぬまま、空の薬莢を捨てて弾を込める。これで弾は最後だった。

《ちったぁ懲りたか、チクショウどもめ》

追われながら戦う内に、建物の4階まで上ってきてしまった。この上は屋上。
撃った弾の数だけ連中の人数も減ったはずだが、果たしてあと何人いるのか。
相手の銃を拾おうにも、次から次へと来られてそれもままならない。

「…予想通りというべきか。ずいぶん頑張りますね」

不意に階下から声がした。

「そりゃどうも。人様から褒められるのなんざぁ久しぶりだよ」

「…そうですか。それは良かった。きっとこれが最後ですけどね」

「…ッ!!」

危険を感じて身をよじる。が、本能がまだこれでは足りないと警鐘を鳴らす。

《クソッタレ!》

不自然な姿勢のまま、階段の上方向へ体を投げ出す。

《ズドォォォン!》

すんざくような爆発音の後、パラパラとコンクリートの欠片が落ちてくる。
かまわず屋上への階段を上り、ドアノブに手をかける。が、

《グレネードにロックされたドア。俺ぁそんなに人様に恨まれるようなことをしたかぁ?》

この期に及んで心の中で悪態を付きながらも、ドアへ向かって貴重な弾をくれてやる。
扉を開けて外に出ると、新鮮な空気が肺の中に入ってきた。目に入るのは古びた給水塔のみ。

《否が応でもこの場所がゴール地点って訳かよ》

ゆっくりしている暇は無い。唯一の物陰である給水塔まで走る。いや、走ろうとする。
すでに頭も徐々に朦朧とし、まっすぐ早く走ることは難しかった。
途中何度もふらつきながら、ようやく目的の場所へ着き、壁に体を預ける。

呼吸を整えるなか、相棒のリボルバーが耳元で死への誘惑をささやく。今この場で一番早く、確実に、楽になる方法を試さないかとささやきかけてくる。

《悪ぃが俺はガキの頃から諦めが悪くてね。よく婆さんにも怒鳴られてたもんだ》

そのまま回りだそうとする走馬灯を無理やり頭から追い出し、屋上の入り口へ意識を集中する。

弾はあと5発。
持久戦は無理だ…とすれば、先手必勝、短期決戦しかない。
意識は入口に向けたまま、内ポケットから煙草を取り出す。
火をつけると、胸一杯に紫煙を取り込む。

《一か八か、やるしかねぇか》

ビルは空を仰いだ。

「かくれんぼをするには、ちょっと物影が少ないよね」

入口に気配。足音が近付いてくる。

5m…3m…1m…ッ!!

相手の動き方が…早い…!?

「ゲーム・オーバー!」

だが、そこで目にしたのは火のついた煙草と床に置かれたリボルバー。

「ハァッハァー!」

「…!? うわっ!!」

人は予想外の事態に直面したときに、一時的な硬直状態になる。
その瞬間をついてビルは攻撃を仕掛けた。給水塔の梯子から飛び降りて。

1秒後、ビルは馬乗りになっていた。少年の上に。

「…ガキ…だと?」

「残念だったね。イイ線いってたけど」

背中に激痛。…振り向くと少年の膝から伸びたナイフが刺さっている。

「…マ…ジか…」

《やべえな『鷹』。これじゃお前の事笑えねぇよ…》

意識がブラックアウトしていく。


650 名前:ダイソン@ビル 投稿日:2007/06/18(月) 01:18:40
前のめりに突っ伏すビルを押し退けて、少年が立ち上がる。

「いたた…。まぁいいや。残念ながら、僕の勝ちだね」

地面に転がったM4と…ビルのリボルバーを拾う。

「最後は自分の銃でとどめをさすってのもいいでしょ」

ビルの頭に標準を合わせる。

「バイバイ。おじさん」

《ズダーンッ!!》

乾いた銃声が木霊した。

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「うわぁぁぁァッ!!!」

屋上に絶叫が木霊する。

ビルのリボルバーは無惨な姿に変わり果てていた。しかしその代償として、相手の利き腕を奪った。
暴発。ビルの仕掛けた最後のトラップ。

「畜生ッ!畜生ッ!畜生ッ!!」

動く左手で自分の銃を構える…が、上手くいかない。痛みで手が震える。

「誰か来いッ!早くッ!!」

少年の殺し屋はインカムに向かって叫ぶ。

「…誰も来ないヨ」

答えはすぐ近くから聞こえた。

「君のオトモダチは皆寝てるヨ。一人残らずネ」

「…あ…あぁ…たすけ…」

「ダメ」

《ダダダンッ!》

G36Cの銃口が火を噴き、静寂が訪れる。

「悪いネ。ボクは彼ほど甘くない」

すぐさまビルに駆け寄り、呼吸を確認する。

《呼吸はあるケド…これは…》

近くの病院まで、早くても1時間はかかる。…間に合わない。

「悪かったネ。もう少し早く着ければ。キミにはセーフハウスを潰された代金を請求したかったのにナ。…ン?」

遠くから何かが近付いて来る。

《新手カ?》

身を低くし、銃を構える。

《ヘリ…しかもコイツはナイト・ホーク!!軍用だっテ!?》

みるみる間にスリング降下してきた男たちに取り囲まれていく。

「銃を下げろ!我々は敵ではない!」

《…!! あの男は!!》

「私はそこで倒れている男に用があってきた。今死なれては困るからな。連れて行くぞ」

拒否権など無かった。

男たちはあっという間にビルを収容するとそのまま飛び去って行った。

《リードマン…。あの男がなぜビルに興味を持つ?…わからんナ》

ポケットから取り出したチョコバーを咥えながら、DJは誰もいなくなった廃ビルを後にした。

 

 Photo   ダイソンのスナイパーライフル

 Photo   ダイソンのUSPとGlock18

 Photo   ダイソンの護身用デリンジャー

 Photo  ダイソンのM1100

 Photo  ビルのミニガバメント

 Photo   ビルのM19

 Photo  DJのG36C

 Photo  ビルのマスタング

 Photo  ビルのマスタング