Dyson's story 01 "Sniper of solitude" 

【ダイソンの妄想経歴】
出生不明。10代の頃より傭兵として各地の戦場を転々とする。時にはゲリラ、時には軍の傭兵部隊…。
徐々に戦果を上げ、2年前に突然引退する頃には着実に死を振り撒く《血濡れの鷹》と呼ばれていた。
当時使用していたコードネームは《ホーク・アイ》。

現在は引退して名を変え、ダウンタウンでガンショップを営みながら暮らしている。
この妄想以後、市警のイリーガルな仕事を請け負う《掃除屋》として暫く活動する。


『もう一度言う。俺は引退したんだぜ?』

「おいおい、そんなこと言っていいのか?この店の倉庫には
随分物騒な商品があるって噂だが…」

『…』


そんないきさつで今俺は市警の仕事のボランティアをやらされている。

引退後は気ままなガンショップの経営者…と洒落込みたかったが、世の中なかなかうまく出来ていない。

まぁ俺の前職を知りながら声をかけて来たヤツもヤツだが。

「ミクロ・ファクトリーの会長に7回目の暗殺予告が届いた。
同時期にこの男の入国も確認された」

『…レガート・ロウか』

特定の組織には属さない、特A級スナイパー。

「上は取り合っちゃくれんが、今回の予告はヤバイ。こいつは俺の勘だが、今まで計6回発生した稚拙な犯行は恐らくブラフだ。奴らの本当の狙いは今週末に行われるセレモニーで…」

バンッ…とこめかみを打ち抜くジェスチャーをする。

「そこで目には目を、スナイパーにはスナイパーを…ってワケだ」

『…』

こうなった以上、俺に示された選択肢は今の生活を捨てるか奴の条件を飲むか。あるいは…

「ちなみに俺を殺しても何にもならないぜ?まぁお前なら市警全部敵に回しても《ヘ》でもないかも知れないがな」

今の生活は割と気に入っていた。ささやかながら人間らしい暮らしというものがそこにはある。

過去の代償がこのボンクラ刑事の小間使いというねは気に食わないが、今はまだ悪い話じゃない。

『…いいだろう。ただし条件がある』

「…そうこなくっちゃな!」


階段を上る足を止める。…ビンゴだ。

念のために他に考えられる場所にも人を回させたが、杞憂だったようだ。
目の前に張られたトラップが、この先に標的がいることを知らせている。

慎重にワイヤーを避けながら歩みを進める。この場所にトラップがあるということは、ここで起きたことを察知できる場所に標的がいるということにほかならない。

ショルダーホルスターから銃を抜く。

CZ75。古い銃だ。
今では一部の愛好家が愛でるような、骨董品の仲間入りをしつつある。

セーフティーを解除し、そのままゆっくり階段を上る。
踊り場には屋上に繋がるであろう扉があった。腰のバックからファイバースコープを取り出す。扉の外側には当然のようにクライモアがセットされていた。一連の動作でワイヤーをカット。

改めて両手をフリーにして、取っ手に手を伸ばす。…さて。どうするか。

扉は一部錆び付いており、これ以上標的に忍び寄ることは困難に思えた。

頭の中で地図と現在地、そして標的のいるであろう位置を重ねる。
最も勝算が高いと導き出された答えは《強襲》。

大きく息を吸い込み、止める。

…行くぞ。

《バンッ!!》

ギィィ…と扉が軋む間もなく一気に開け放つと、セレモニー会場に面した側へ走る。

《バスッ!バスッ!》

角を曲がる直前に僅かに篭った銃声。
同時に耳元でバシッとコンクリートの弾ける音がした。

角から距離を取り、体を少しずつずらして様子をうかがう。
建物の縁にはライフルが置かれている。その周りは…無人。

商売道具を手放すとは、余程慌てたらしい。
構えた銃の引き金を容赦なく引く。

《バンッ!バンッ!》

弾はライフルのボディに吸い込まれ、凶器をスクラップに変えていく。

そのまま一瞬上半身を倒す。視界の隅に人影が映る。

《バンッ!バンッ!》

影に向かって弾丸が吸い込まれていく。
身体を戻すと同時に、ドサッと倒れ込む音が聞こえた。

銃を構えたまま、慎重に相手の姿を確認する。
伏せたままぴくりとも動かない。
一歩一歩近づき、あと3歩ほどのところで止まる。

『急所は外れたはずだが?』

「…」

『銃を捨てて両手を頭の上に』

「…」

俺がこんな台詞を言う日が来るとは、今日まで夢にも思っていなかった。
それが警告ではなく拒否不能な命令であることを声のトーンで理解したのか、相手は素直に従う。

「俺をどうする?」

『依頼主に渡すだけだ』

「依頼主?」

男は振り向きざま俺の顔を見て、驚きの表情を浮かべる。

「…ホーク・アイ?」

…俺も随分と有名になったもんだな。
この分じゃダウンタウンの子供たちにまで俺の過去を知られているような錯覚に陥る。

「戦場で《血濡れの鷹》と呼ばれたあんたが、今はポリスの犬とは…」

『…犬なんかじゃない』

「…?」

『俺の名はダイソン。…《掃除屋》だ』

思わず口走った言葉。

「…そんなことをしても、お前や俺が多くの命を奪ってきた過去は消えやしない。自己満足の贖罪ゴッコだな」

『そんな事は解っている。だがこの名も今の生活も割と気に入っているんでね。そいつを守りたいだけだ」

階段から警官隊の足音が聞こえる。

これが俺の《掃除屋》としての初仕事だった。


 

 Photo   ダイソンのCZ75

 Photo   ダイソンのスナイパーライフル

 Photo   ダイソンのUSPとGlock18

 Photo   ダイソンの護身用デリンジャー

 Photo  ダイソンのM1100

 Photo  ビルのミニガバメント

 Photo   ビルのM19

 Photo  DJのG36C

 Photo  ビルのマスタング

 Photo  ビルのマスタング